カメラは暗躍する“美術ハンター”の姿をとらえた!「バンクシーを盗んだ男」本編映像
2018年8月11日 14:00
[映画.com ニュース] 世界から熱い視線を浴びる覆面アーティスト、バンクシーの人物像と、数千万円~1億円という超高額で取引される作品がもたらす影響力に迫るドキュメンタリー「バンクシーを盗んだ男」(公開中)の本編映像が公開された。
舞台は、紛争地区に指定されているパレスチナ・ヨルダン西岸地区にあるベツレヘムの“分離壁”。その壁にバンクシーが「ロバと兵士」を描いたが、怒った地元住民によって壁面を切り取られ、美術収集家たちが待つ海外の高級オークションハウスへ送られてしまう。新鋭マルコ・プロゼルピオ監督が長編映画監督デビューを果たし、伝説的なロックシンガーのイギー・ポップがナレーションを務めている。
解禁された本編映像には、仮面をつけた男たちが専用の工具を使って、バンクシーの作品をコンクリートの壁から切り出し、美術品コレクターのトニー・ブラックスターの車に積み込む一部始終が収められている。
「作品を救い出すことが、われわれの責務」と自らの行動を定義するブラックスターは、「これまで7年か8年の間、彼(バンクシー)の作品を扱ってきたよ。有名人たちに売った。われわれがやっていることは正しいのか? 正解は分からないから答えられないね。ただ、やらなかったら彼の作品は消えていたんだ」と作品を切り出す理由を説明する。
街角の壁などに描かれることが多いバンクシーの作品は、その価値ゆえに、一般市民や“ハンター”に狙われることも多いといい、ブラックスターは「物を狙うことが目的の連中さ! 個人売買のためだね。悲しいことにバンクシーを買えるのは大金持ちだけだ」と憤る。
ここで流れるのが「この作品は20万ポンドほどで売られたと推測される。文脈から切り離された他のバンクシー作品とともに美術館へ」というナレーション。文脈とは、ストリートアートは描かれた場所(ストリート)にあってこそ意味があるという考え方だ。果たして、ブラックスターの“作品を救い出すこと”は、本当に正しい行動なのだろうか。