瀬々敬久監督の“叫び”に通じる若松孝二監督の“怒鳴り声” 小木戸利光が述懐

2018年7月17日 21:00

「菊とギロチン」の裏話が続出したトークイベント
「菊とギロチン」の裏話が続出したトークイベント

[映画.com ニュース] 瀬々敬久監督最新作「菊とギロチン」(公開中)の脚本を原作とした書籍「菊とギロチン やるならいましかねぇ、いつだっていましかねぇ」(タバブックス刊)の発売記念トークイベントが7月15日、東京の下北沢B&Bで行われ、瀬々監督をはじめ、著者の栗原康(政治学者)、俳優の小木戸利光が登壇。客席にいた前原麻希小水たいがも飛び入り参加し、イベントを盛り上げた。

瀬々監督が構想30年をかけて完成させた「菊とギロチン」は、女相撲の一座「玉岩興行」とアナキスト・グループ「ギロチン社」の青年たちが性別や年齢を越え、強く結びついていくさまを描き出した。“破壊的創作評伝小説”と称した「菊とギロチン やるならいましかねぇ、いつだっていましかねぇ」を執筆した栗原氏は、「映画って物凄くお金がかかるのにそれを自主でやろう、むちゃくちゃ面白いものをつくろう、商業映画よりさらに面白いものをつくろうっていう心意気にビリビリきてたので、こっちも死ぬ気で挑まないといけないって思いました」と述懐。「本気で支配の感覚を壊す言葉でぶちまけてみたい」という心持ちで練り上げた文章について、「担当編集さんが発禁処分にならないかなと心配するくらいになってしまって(笑)」と発言し、会場を沸かせていた。

「ギロチン社」のリーダー・中濱鐵(東出昌大)に大きな影響を与えるアナキスト・大杉栄役の小木戸は、劇中の演説シーンについて「完全にフリーなパフォーマンスの空間を与えられた」と瀬々監督流の演出を明かす。「本番テイクは1回だけだと覚悟を決めて、技術とかではなく自分の奥底にあるものを出したいと思って、勉強してきたことも演技プランも全部投げてゼロにしてやりました」と語ると、かつて出演した故若松孝二監督作「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」との不思議なつながりを打ち明けた。

「若松さんから受け取ったメッセージが大きくて、現場が終わって、もちろんまた映画がやりたいと思ったのですが、その前に僕は自分自身の核を見つけなければ、俳優として良い働きはできないと実感していました」と俳優業から遠ざかった理由を話すと、そこから約10年後に出演した「菊とギロチン」には「あの時一緒にあさま山荘に立て籠もった井浦新さん、大西信満さん、僕という、5人のうちの3人が揃いました」と説明。小木戸とは2度目のトークイベントとなる栗原氏は、「『連赤』のことを語った時にすごく面白いなと思ったのは、若松さんに雪山走らされて怒鳴られて自分が空っぽにさせられて、その時の心境を話してくださったんですが、なるほどそうかと思ったのは、その言葉が“くそジジイ、今に見てろよ”(笑)」と補足していた。

すると、小木戸は間髪入れずに「それ、今回、寛一郎君が瀬々さんに抱いた気持ちに限りなく近いものですよね!」。そのツッコミに苦笑した瀬々監督は、撮影が開始してから1週間ほどの段階で起こった衝撃的なエピソードを披露する。本作で演技初挑戦となった古田大次郎役の寛一郎は、重要なシーンでの芝居が上手くいかず、40回もリテイク。瀬々監督は、寛一郎を“解放させる”ために自分の首を絞めさせて「俺を殺せえ」と叫んだという。その話題に耳を傾けていた小木戸は「僕たちも若松さんにやられました」と切り返し、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」の山荘から警官隊に発砲するシーンで「それが警官に向かっていく顔か! 帰れー!」と怒鳴られた思い出を告白。若松組と瀬々組、どちらの現場にも圧倒的な熱量が充満していたようだ。

「菊とギロチン やるならいましかねぇ、いつだっていましかねぇ」は、発売中。価格は2200円(税抜き)。

(映画.com速報)

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