綾野剛、カオス渦巻く「パンク侍」現場を振り返る 浅野忠信はアドリブ全開も「覚えていない」
2018年6月30日 15:25
[映画.com ニュース] 芥川賞作家・町田康氏の異色時代小説を映画化した「パンク侍、斬られて候」が6月30日、全国323館で封切られた。主演の綾野剛をはじめ、共演の北川景子、東出昌大、染谷将太、浅野忠信、永瀬正敏、村上淳、若葉竜也、渋川清彦、國村隼、脚本の宮藤官九郎、メガホンをとった石井岳龍監督は、東京・丸の内TOEI1での舞台挨拶に顔をそろえた。
「くっすん大黒」「きれぎれ」などで知られる町田氏が2004年に発表した同名小説を素に、“超人的剣客”を自称する掛十之進(綾野)が、自ら招いた大惨事に七転八倒するさまを描く。「(劇中には)まともな人間は1人もいません」と語った綾野は、「“宣伝不可能”と言ってきましたが、皆さんに見て頂いたことで、初めて不可能が可能になる作品だと確信しています」とアピール。だが、観客が物語をきちんと理解しているのか不安に感じたようで「『なんだ、この映画?』って感じですか? 僕もどうなのかがわからない(笑)。だからこそ良い映画なんですけどね」と言葉を投げかけていた。
登壇者それぞれが演じるキャラクターと“対峙”することが多かった綾野は、「諸先輩方がめちゃくちゃしてくれるので、本当に大変でした」と撮影を述懐。浅野演じる茶山半郎の初登場シーンについて「あそこは全部浅野さんのアドリブ。いきなりタックルされるし、その横では染谷のしょうやんが冷静にセリフを言っている。本当にカオス状態。訳が分からなかった」と語った。石井監督が迷いなく「OK」を出したのは、台本とは全く異なる展開だったようだ。
アドリブに関しては「役に成りきっていて覚えていない。とりつかれていた。どうかしていたと思う」と話した浅野は、「主役でなければ出演しない」とオファーを1度断っていた。「若い頃、監督にはお世話になっていたんで『監督の作品には主役で出るんだ』と心に決めていた。そしたら茶山役。図々しくも監督に『これはできません!』と言ったんです」と振り返り、茶山に「セリフなし」「黒子2人に喋らせる」という新たな設定を提案した。「どうしようかと思った(笑)」という石井監督の発言に続き、宮藤は「確かにこの役は喋らない方がいいと思いました。でも(劇中では)ベラベラ喋ってましたけど」とチクリ。すると、綾野は「(浅野に)黒子2人の言葉は『茶山の言葉ですよね?』と聞いたら『違う!』と。あれは最高に面白かった」と暴露し「本当にひでえ現場だったな(笑)」と胸中を吐露していた。
そして、綾野とともに「睾丸稲荷返し」シーンを熱演した村上が「あの形になった時、綾野君の股間からすごく良い匂いがした」と明かすと、場内は大爆笑。「それ、おかしいでしょ!」と笑いながらツッコミを入れる綾野をよそに「役に集中できなかった。夏(の到来)を告げる石鹸のような…素に戻っちゃって、監督に『撮影、止めてもらってもいいですか?』と言った(笑)」と“舌好調”だった。