黒沢清監督、「これぞジャンル映画」と美女の血みどろ復讐劇「REVENGE」監督を絶賛
2018年6月23日 19:05

[映画.com ニュース] 横浜市で開催中の「フランス映画祭2018」の企画の一環として、「女性監督によるフレンチホラーの魅力」と題したマスタークラスが6月22日、東京藝術大学大学院で開催された。コレリー・ファルジャ監督の「REVENGE リベンジ」が上映され、ファルジャ監督と黒沢清監督がティーチインを行った。
映画はファルジャ監督の長編デビュー作で、男たちにひどい扱いを受けたヒロインが、彼らに復讐する姿を血みどろのバイオレンス描写とスタイリッシュな映像で描いたリベンジスリラー。
黒沢監督は「このようなジャンル映画を上映できてうれしく思っています。作家性の強い作品を目指す学生が多いのですが、僕の授業では、ジャンル映画を上映してきました。これぞジャンル映画だという作品は、アメリカ映画だけではないのと伝えたい」と作風を絶賛した。
さらに、「分かりやすいタイトルがとてもいい。すぐに思い出したのが、イーストウッドが作ったいくつかの映画で『荒野のストレンジャー』『ペイルライダー』。自分をひどい目に合わせた相手に復讐する、そして死んでいるとしか思えない男が、蘇る。いったん死んでいるので、前より数段強くなっている。生きているときにひどい目にあったのを、死んでグレードアップしたキャラクターがひどい目にあったて復讐するというのは、日本の怪談映画の幽霊のパターンにも通じる。これもホラー映画のカテゴリに入ると思いました」と分析した。
若いころから数多くのジャンル映画を見てきたというファルジャ監督は「黒沢監督が仰られた再生の話は正しいと思います。この映画で大事なのは、ヒロインが一度死にかけながら、以前の性格とは変わって、生き返るという本当の意味での蘇生だと思うのです。ジャンル映画の好きなところは、規制の枠にとらわれずに、暴力表現にもっとシンボリックにできるところ。観客も痛みを感じることができます」と話す。
また、黒沢監督は本作の普遍的なジャンル映画としての高度な構成を褒め、オリジナリティとして「圧倒的な血の量」を挙げる。「思い切り潔く、これでもかといろんな傷口があって、そこから血が噴出る。ここまでやられると、ジャンルを超えた強烈な作家性を感じました。一方で、池やプールや水の描写がありその幻想性、生々しい血との対比が彼女独特のものだと思いました」と指摘した。
現在のフランスでのジャンル映画の状況を問われたファルジャ監督は、「フランスの観客はジャンル映画は好きですが、自国で製作するとなると資金調達が難しい」と明かす。「最近そういう状況を『RAW 少女のめざめ』がつきやぶってくれたので、次第に資金調達の面もうまくいくようになるのではと思います。私は、自分の作品と普通のジャンル映画との違いや、やりたいテーマに対する意思、魂を赤裸々にさらけ出し、プロデューサー候補に真摯に話します。そのバイブレーションがいい作品となって、観客に受け入れられると思いますが、それでもまだ難しい状況です」と説明した。
その話を受けて黒沢監督は、「日本でも同じで、ジャンル映画を撮るのは難しい状況です。彼女の強い意志はすごい。僕もそれに近い気持ちで、ホラー映画を撮りました」と振り返り、「こういう映画が出来上がって存在しているのが心強い。観客がスクリーンに釘付けになってしまう、そういう映画の楽しさを追求するような作品をどんどん作っていってほしい。僕も作りますのでがんばりましょう」と新世代の才能にエールを送った。
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