木竜麻生&東出昌大“嘘なき芝居”を映した「菊とギロチン」支援者に感謝!
2018年6月19日 12:00
[映画.com ニュース] 瀬々敬久監督が8年ぶりに自身の企画によるオリジナル映画としてメガホンをとった「菊とギロチン」の特別試写会が6月18日、東京・渋谷のユーロライブで行われた。瀬々監督は、木竜麻生、東出昌大、渋川清彦、嘉門洋子、大西礼芳、仁科あい、大西信満、川瀬陽太らとともに、上映後の舞台挨拶に立った。
舞台は大正末期、不穏な空気が漂う関東大震災直後の日本。力自慢の女力士のほかにも、元遊女や家出娘が集った女相撲の一座「玉岩興行」と、アナキストグループ「ギロチン社」が強く結びついていくさまを描き出す。この日会場に集った観客の多くは、本作を後押ししたクラウドファンディングの支援者たち。瀬々監督は「今回の試写が、一般の方々に見て頂く“スタート”となります。皆様のおかげで完成し、この場で話すことができています。本当にありがとうございました!」と謝意を示していた。
瀬々監督の呼び込みを受けて、ステージに姿を現したキャストたちは一様に興奮の面持ちだ。「映画は見て頂くことで“映画”になります。ご支援いただいたことで、多くの方に見て頂けるはず」(仁科)、「天国と地獄のような現場だったんですが、私たちがそこに立てるのは支援してくださる方がいてくれるおかげです」(嘉門)、「私はこういう映画に出たくて役者をやっていたんだと思いました。役者人生でそう思えることは幸せです」(大西礼)、「なかなかこういう現場には出合えない。こういう作品に関われるからこそ、俳優を続けられる」(大西信)と挨拶するなか、和田光沙は「瀬々監督に唯一褒められた」というシコを披露。場内に響き渡る「ヨイショー!」の掛け声に触発された渋川も「俺も初めてシコを踏みます」と地響きを鳴らし、客席を沸かせていた。
ヒロインの新人力士・花菊役に抜てきされた木竜は「映画を応援して下さる皆さんにお会いできて嬉しいです。公開はこれからなので、引き続きよろしくお願いします」と満開の笑顔。瀬々監督から「一番嫌いだったメンバーは誰?」と茶化されつつ「一番の思い出は?」と問われると、「どこでもシコを踏んでいたこと」と回答。「公園で踏んだり、洗濯をしている待ち時間にも。そうやって一生懸命、生活のなかで作品に触れていました」と振り返っていた。
「ギロチン社」のリーダーで詩人の中濱鐵(なかはま・てつ)を演じた東出は「土俵上での女相撲の皆さんは本当に命を削っていた。その姿に感化されて『ギロチン社』も動き出しました」と述懐。「僕らも毎晩安酒をかっくらって、夢だとか、役者だとか、『ギロチン社』ってなんなんだと、一触即発になりながら日々を過ごしていました。撮影していたことに“嘘”はなかったと思います。“嘘のない芝居”がフィルムに映っていたら、そしてそれを感じていただけたら最高です」と思いの丈を述べていた。一方で、一番の思い出を聞かれると、やむなく舞台挨拶を欠席していた寛一郎に対する瀬々監督の驚くべき演出方法を暴露。約40テイクを重ねた撮影時、瀬々監督がとった“過激”な手法に爆笑する観客に対し「熱狂の渦に巻き込まれた素晴らしい現場でした(笑)」と言葉を投げかけていた。
構想30年にも及ぶ野心作の完成――瀬々監督の目の前には、待ちわびた光景が広がっていたようで「女相撲のメンバーがコメントを出す度に、この人の涙腺が決壊しています」(川瀬)と指摘されてしまった。締めの挨拶では、声を絞り出すように「『ギロチン社』のアジトに、美術部の方々が『自主自立』という言葉を貼っていたことが印象的でした。この映画は『自由』『自分たちでやる』という気持ちの大切さをうたっています。色々な形で協力して頂いた方々に感謝を申し上げます。皆さんの力がなければ、この映画はできませんでした」と語っていた。
なお、この日は持田加奈子、和田光沙、背乃じゅん、播田美保、田代友紀、嶺豪一、荒巻全紀、池田良、小林竜樹、小水たいが、伊島空、東龍之介、飯田芳も登壇した。「菊とギロチン」は、7月7日から東京・テアトル新宿ほか全国順次公開。なおクラウドファンディングは、7月6日の23時59分まで「MotionGallery (モーションギャラリー)」(https://motion-gallery.net/projects/kiku-guillo)で継続中。
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