松本千晶監督×木口健太主演「傀儡」公開、スケール感ある挑戦的な混沌のミステリー
2018年6月5日 20:00

[映画.com ニュース] 第10回田辺・弁慶映画祭入選の松本千晶監督、木口健太主演「傀儡」が、6月16日より東京・渋谷のユーロスペースで公開される。松本監督と木口が作品の見どころなどを語った。
「傀儡」は、撮影当時21歳の松本監督による大学の卒業制作作品だが、一般的な学生映画のクオリティとスケールを超えた完成度が高く評価されたミステリー作品。第38回ぴあフィルムフェスティバルにも入選、第9回アジア国際青少年映画祭ではシナリオ賞を受賞した。傀儡の意味は操り人形のこと。
12年前に事故死した恋人の死因を偶然調べることになった記者の藤真が、恋人の遺族と事件の容疑者が生活をともにしていることを知ったことから、事態が予想外の方向へ進んでいく様を描いていく。恋人の死因を突き止めていくうちに、この世界の何が現実なのか混沌の闇が藤真に迫る。長崎県大村市の全面協力を得た雄大な地を舞台に、ドローンによるスケール感のある冒頭の空撮から圧巻のラストまで観るものを引き込んでいく。
最初から劇場公開を目指して制作したという松本監督は「当時、テレビのニュースやネット上に情報があふれる世の中で、自分の常識とは何か、何を信じればいいのか、人々は自己判断できなくなっているのではないかと疑問を持ち、見た人に考察させるような映画を作りたいと思った」と制作意図を述べた。

メジャー作品でも活躍する木口は「学生映画は過去の自分の経験を投影したような作品が多いと思うのですが、松本監督のシナリオは創造的であり野心的で、とても挑戦的だった」ことから出演を決めたという。撮影では「大村の地に野放しにされ、そこで藤間として本当に生きるしかなかった。監督の演出が自由すぎて、逆に不自由と思うくらい、日常と映画との境目がわからなくなった」と振り返った。
松本監督も「当時21歳の僕は選択肢がありすぎて、まだロジカルにジャッジして指示できなかった。シナリオの中の世界と、スタッフ・キャストとの現実の世界の狭間で、いかに自分が未熟か思い知らされた」と言うが、「打ち合わせの時から監督のエネルギーが凄くて、とても僕ひとりでは受け止め切れないほどだった」と木口。二階堂智、烏丸せつこ、戸田昌宏、渋川清彦といったベテラン・個性派俳優から若手の石崎なつみらが共演し、数々の商業映画を制作している浅野博貴プロデューサーらが松本監督をバックアップした。
「僕らではこの映画の価値は決められないので、多くの人に自分の価値観で見てもらって考えて欲しい。ようやくスタートラインに立てる」という木口は、昨年撮影した主演映画「ずぶぬれて犬ころ」(本田孝義監督)も間もなく完成予定で、今後も出演作の撮影・公開が控えている。
そして、イタリアの巨匠ミケランジェロ・アントニオーニにも影響を受けたという松本監督は「好き嫌いが分かれる作品ですが、スタッフ・キャストのおかげでここまでの長編が作れたという手応えはある」とし、今後は「若手映画作家の育成プロジェクトへの参加や、音楽とコラボした作品、映画祭のコンペティションにも引き続き挑戦し、商業映画デビューを目指していきたい」と抱負を語った。
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