「デビルマン」衝撃のラストを初アニメ化――湯浅政明監督が紡いだ原作のスピリット
2018年1月5日 10:00
[映画.com ニュース] 名作漫画の映像化作品を特集するインタビュー企画。取り上げるのは、永井豪氏の傑作「デビルマン」を湯浅政明監督が再アニメ化した「DEVILMAN crybaby」。2018年1月5日のNetflixでの全世界独占配信を前に、ファンの注目を集めているのは、多くの読者が度肝を抜かれた“衝撃のラスト”が初めてアニメ化されるという点だ。日本アニメ界をけん引する存在として期待される湯浅監督は、原作漫画に宿るスピリットをしっかりと受け継ぎながらも、「現代版デビルマン」としてみごとに昇華してみせた。永井氏も認めた、奇才監督の手腕に迫る。(取材・文・写真/編集部)
「デビルマン」は、1972年から「週刊少年マガジン」(講談社刊)で連載され、単行本の全世界累計発行部数が5000万部を超える大ヒット作。デーモンと合体した青年・不動明と、親友・飛鳥了に待ち受ける運命、2人がたどり着く「人知を越えた一大決戦」を描く。
幼少期にテレビアニメ版に出合い、高校時代に初めて原作漫画を読んだという湯浅監督。「噂は聞いていたけれど、思った以上にショッキングな内容でした。ハッピーエンドで終わらない、善が勝つとは限らないという内容も衝撃が大きかった。一番ショッキングだったのは、ヒロインの結末でした」と明かし、「僕らの世代にとって、大きい作品だと思います」と噛み締める。
記憶に残る作品ではあったが、アニメ化のオファーを受けた際の心境は「『えー! そこか!』と思いました(笑)。金字塔のような作品なので、自分が作る題材としては眼中になかった。スター・ウォーズとかスーパーマン、そんなイメージなので(笑)」。同時に、「やるのは難しいだろうなと思いました。自分が初めて読んだ時に受けた感覚を表現できるだろうか」と迷いが生じたが、信頼するスタッフの後押しを受け「やりたいと答えました」
原作ラストまで描くことは、最初から決めていたという。「デビルマンのミソはそこにあると思っているので、それを描かないと今回デビルマンをやる意味がないと感じました」。アニメ化する際に大切にしていることは「見た時、読んだ時に、自分が感じたことを映像化すること」、すなわち本作においては「高校生の頃に読んだ感じ、受けた衝撃を、“今”に持ってくること」。そのために、「原作のスピリット、エッセンスを“今やるアニメーション”の形に落とし込む作業」に注力した。
「漫画とアニメーションという媒体の違いで、全く同じにはできない部分があるので、そこはアニメに合う形に直さないといけませんでした。漫画デビルマンは、奇跡的な構成なんです。漫画だからできる構成。それをそのままやると、アニメーションにはならないので、新たな要素を加えて、元の要素とつなげていきました」。重要視したのは、「やっぱり美樹ちゃんのシーンとラストシーン。シレーヌなど大きなキャラクターの配置、自分が気に入っているショットを『(重要視するシーンと)どうつなげていこうか』と考えました」
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