「第18回東京フィルメックス」シルビア・チャン監督作「相愛相親」で開幕!
2017年11月19日 13:09
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[映画.com ニュース]アジアを中心とした注目の作品を多数上映する国際映画祭「第18回東京フィルメックス」が11月19日、TOHOシネマズ日劇1で開幕。オープニング作品としてシルビア・チャン監督の『相愛相親(そうあいそうしん)』が上映された。
同映画祭の今年のオープニング作品は、「過ぎゆく時の中で」「恋人たちの食卓」など数多くの香港映画、台湾映画に出演してきた大女優シルビア・チャンが監督・主演を務めたドラマ。釜山映画祭でもクロージング作品として上映され、大きな話題を集めた作品だ。母の死をきっかけに、娘のホェイイン(チャン)は、田舎にある父の墓を移そうとするが、父の最初の妻ナナが抵抗。そこから大きな波紋が巻き起こるさまを描き出す。
2015年の第16回フィルメックスではコンペティション部門の審査員を務めたこともあるチャン監督は、「東京フィルメックスに戻ってこられてうれしいです。テレビやiPadやiPhoneではなく、こんな大画面で映画を見ていただけるなんて」と感激した様子。「今回は大変にシンプルなストーリーです。もともとのストーリーがシンプルなだけに、なぜ映画を撮っているのかと自分に問いかける機会となりました。楽しんで撮ったので、ぜひ皆さんにも楽しんでいただきたいですね」と会場に呼びかけた。
亡くなった祖父の墓をめぐる3世代の女性の思いを、時に切実に、時にユーモラスに描き出した本作。映画上映後、万雷の拍手に迎えられたチャン監督は「ありがとうこざいます。寒い冬空の中、皆さんの心を温めるような作品になれたのならばうれしいです」と誇らしげな顔を見せた。
チャン監督演じるヒロインの夫役として、「青い凧」「春の惑い」などで知られる中国映画界の巨匠ティエン・チュアンチュアン監督が俳優として出演。包容力あふれる演技を見せて、観客に深い印象を残した。そのキャスティングについて質問を受けたチャン監督は「彼とは10年ほど前に『呉清源 極みの棋譜』という映画で一緒にお仕事をして以来、仲良くさせてもらってきました。彼は人間としての温かさを持っている人物。ティエン監督なら妻を支える夫を演じるのに説得力を持たせることができると思ったし、脚本も彼の顔を思い浮かべながら書いていました」とコメント。
さらに「彼は俳優のオファーに大変驚いていた様子だった」というチャン監督は、「彼はどの役をやるの? と聞くんで、わたしの夫役に決まっているじゃないと答えたら、オファーを即答してくれた。撮影の初日、彼は演技なんてできないよと言ってきたんだけど、大丈夫、そのままでいてくれたら大丈夫だから、と言いました。彼の”演技をしない演技”、テンポ、スタイルが映画のトーンを決めてくれた。本当に感謝しています」と振り返った。この日の聞き手を務めていた林加奈子ディレクターは「この作品は日本で公開されてしかるべき作品にもかかわらず、まだ日本での配給が決まっていません。日本でも公開するべきですよね」と会場に呼びかけると、会場は大きな拍手でその思いを表した。
一方、この日の『相愛相親(そうあいそうしん)』の上映前には、コンペティション部門の審査員があいさつに登壇。審査委員長を務めた原一男監督は「ちょうど一カ月前になるでしょうか、今回の映画祭の記者会見が行われました。その時に今回のコンペ作品の紹介を林加奈子さん(映画祭ディレクター)と市山尚三(プログラムディレクター)さんが懇切丁寧に、情熱をこめて紹介されているのを聞いて、すごく挑発されているような気持ちになりました」と述懐。そしてその思いについて「つまりあなたたちは、自分たちが選んだ作品にちゃんと向き合って、読み解くことができるのかと。わたしも作品を作るときは自分の生き方を探るために映画を作ってきたと思っております。ですから映画を公開するときは、あなたたちにこの映画を読み解くことができるかい? と挑発するような気持ちでおります。映画祭で選ばれる作品は作り手の魂がこもっている作品が並んでいるわけですから。自分がどこまで読み解けるのか、ものすごい緊張感があります」と続ける。
そのうえで「観客の皆さんに提案があるんですが、ただ楽しむだけじゃもったいない。皆さんも審査をするつもりで見てほしい。皆さんとわれわれの審査した内容を比べてみて、どちらが深く読み解くことができるか。競ってみませんか? そういう風な気持ちで映画を観ると緊張感がでるじゃないですか。それってスリリングなことだと思いますよね。賞の発表の時には、われわれの選考内容を発表します。『なんだ審査員ってこの程度のレベルなのか。俺ならもっと深く読み解いているよ』と思うかもしれない。そうやって火花を散らすような緊張感を持ってほしいし、わたしたちもまた、仕事としてではなく、自分の生き方をかけて映画を読み解くと。そういう審査をしたいと思います」と観客に挑戦状を投げつけた。
「第18回東京フィルメックス」は11月18~26日、東京・有楽町朝日ホールをメイン会場に開催。
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