「ハンナ・アーレント」と同じスタッフで「おかしな二人」の女性版コメディを目指す
2017年11月12日 09:00

[映画.com ニュース] モデルからデザイナーに転身を図る女性の前に、姿を消した夫の前妻が現われて家に居座ってしまう。性格も習慣も異なるふたりは何かと反目しあい、互いを認め合うことができないが…。華やかなニューヨークのマンションを舞台に、ふたりの女性のユーモアとペーソスに溢れた戦いが描かれる。「ハンナ・アーレント」で再評価された監督マルガレーテ・フォン・トロッタが初めて挑んだ、大人の女性の成長を描いたコメディ。
ベッティーナ・ブロケンバー(以下、ブロケンバー):まず「ハンナ・アーレント」の映画を作りたいと思っていました。そうしたらマルガレーテ・フォン・トロッタが「ハンナ~」の映画の準備をしていると聞きました。私の出る幕はないと思っていたら、彼女の方から会う機会を設けてくれたのです。その時は哲学的な話で盛り上がり、「ハンナ~」の映画を一緒に製作することになったのです。それから8年間かかりました。脚本をつくり、資金を集めて製作に臨む。知的でチャレンジングで、とてもタフな時間でした。
ブロケンバー:脚本家のパメラ・カッツが「ハンナ・アーレント」の成功に力を得て、同じスタッフで新作を生み出したいと言い出したのです。マルガレーテは「コメディをやりたい」といい、女性版の「おかしな二人」というパメラのアイデアが採用されました。ジャック・レモンとウォルター・マッソー競演の「おかしな二人」が、彼女は大好きだったのです。「ハンナ・アーレント」ではできなかった、ニューヨークのロケをこの作品で果たすことができました。
ブロケンバー:私はニューヨーカーではありませんが、ニューヨークだったら信じられる設定は確かにあります。街としてすごく国際色豊かで、アメリカ人に完全になりきっている人もいれば、自分のカルチャー、文化を守っている人もいます。自分の個性を大切にする女性たちにはふさわしい場所でしょう。
ブロケンバー:カッチャ・リーマンは、マルガレーテと何度も仕事をしています。もうひとりのヒロインは、どこか脆さを秘めた美人のイメージで、イングリッド・ボルゾ・ベルダルを起用しました。夫の好みがヨーロッパの美人という設定なので、彼女はぴったりでした。カッチャはドイツでビックスターなので、プロデューサーとしては資金集めも容易でした。
フレドリック・ワーグナー:ベルリン国際映画祭で、キャスティングディレクターと会って1年後、ケルンでマルガレーテと会うように言われました。ヒロインの助手の役で、オーディションの覚悟をしていたら、ただ話をしただけで決まりました。
ブロケンバー:彼女はオーディションという形はとりません。俳優の過去の作品を全部観たうえで、2~3時間程の話をして決めます。
ブロケンバー:とてもシンプルです。私が観たい映画を、手伝うということです。映画は監督のものなのです。今回の東京国際映画祭には、私がプロデュースしたセミフ・カプランオール監督作「グレイン」も出品されました。彼の過去の三部作を私が手がけていたので、その流れで引き受けました。私の手掛けてきた作品はラース・フォン・トリアーの作品をはじめ、非常に政治的で、難しい内容のものが多いのです。私が観たい映画を作りたいのです。私は監督の産婆だと思っています。すばらしい赤ん坊を生み出すべく、資金も集め、戦いぬいて、監督が仕事に集中できるような環境を作り、誠心誠意尽くします。
ブロケンバー:ええ、毎日、映画館にいても飽きないくらい、映画が大好きなのです。仕切ること、組織化することが好きなのも、プロデューサー向きですね。「風とともに去りぬ」のプロデューサー、デビッド・O・セルズニックが書いた本を読んで、プロデューサーが私にとって完璧な仕事だと思いました。
関連ニュース





【二村ヒトシコラム】恋愛やセックスや結婚を、しちゃう人であっても、しないと決めている人であっても、それらの現象と感情について考える面白い映画 「オスロ、3つの愛の風景」
2025年9月14日 17:00

映画.com注目特集をチェック

ファンファーレ!ふたつの音
【本作、良い映画ではないです。最高に良い映画です】“ほっこり系”と油断してた…感情が持ってかれた
提供:松竹

ジュラシック・ワールド 復活の大地
【観てない人マジもったいない!!】まだ間に合う!この連休に映画館へ【知れば絶対に観たくなる7の事実】
提供:東宝東和

Dear Stranger ディア・ストレンジャー
【4歳の息子が誘拐された。しかし誘拐犯が死体で見つかった】衝撃の極限ヒューマンサスペンス
提供:東映

ワン・バトル・アフター・アナザー
【個人的・下半期で観たい映画No.1】なにこれ!!? 全員主役級キャストがクセ“マシマシ”異常者に
提供:ワーナー・ブラザース映画

宝島
【超異例の「宝島」現象】こんなにも早く、心の底から“観てほしい”と感じた映画は初めてかもしれない。
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント