ガエル・ガルシア・ベルナル「ネルーダ」に絶対的自信!「これほど楽しめる作品はない」
2017年11月10日 18:00
[映画.com ニュース] 1971年にノーベル文学賞を受賞したチリの詩人パブロ・ネルーダの逃亡生活を描いた「ネルーダ 大いなる愛の逃亡者」に出演したガエル・ガルシア・ベルナルが、作品に込めた思いを語った。
「バベル」のベルナルと「ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」で知られるパブロ・ラライン監督が、「NO」に続き再タッグを組んだサスペンス。詩人でありながら、共産主義の政治家として活動していたネルーダ(ルイス・ニェッコ)の逃亡生活を軸に、代表作である叙事詩「大いなる歌」が生み出された背景を描く。ベルナルは、ネルーダを追う警察官ペルショノーに扮している。第69回カンヌ国際映画祭の監督週間に出品されたほか、第74回ゴールデングローブ賞の映画部門で外国語映画賞にノミネートされた。
メキシコを代表する国際的俳優でもあるベルナルは、「今、この手の作品はすごく少ないと思うよ。題材となる作家の作品にインスパイアされた自由な形の伝記映画という意味じゃなくて、もっと具体的に、この映画が扱う物議を醸すテーマ、その詩的な言葉について言っているんだ」と力を込める。「映画というのは、感情を表現して、物語の帰結を描くすばらしい場所だ。言葉に頼る表現ではない。だけど、この映画のスタート地点は言葉なんだ。恋に落ちずにはいられない、新しい世界を創り上げる危険な言葉さ。劇中で、登場人物たちはその竜巻に巻き込まれる。詩的な世界の束縛から逃れられなくて苦しむんだ。そして明らかに、その言葉を発しているのは詩人であり、その言葉を神話かつ真実にすることで現実にしてしまう。最近の映画で、これほど楽しめる作品は他に思い浮かばないよ」と本作のキーワードでもある“言葉の力”について熱く語った。
今回が2度目となるラライン監督への信頼は絶大で、「パブロ・ラライン監督は、俳優のことを本当によくわかっているよ。それと、今回のチームはとても気の合う、最高に才能豊かなメンバーだった。大抵の場合、監督は現場では俳優のやり方を見守ってくれた。撮影現場の内外で築いた友情関係があったからこそ、監督は僕らのポテンシャルを図ってくれたのさ。監督の思いやりと勇敢さのおかげで、アンデス山脈をまたぐ雪の降る大地と厳しい環境のなかで、詩の世界という最高に繊細で崇高な側面に集中して、この壮大な映画を深く探求できた。疑う余地もなく、創造という名の深い雪の下にダイブする勇気と才能がある監督はすごく稀(まれ)だよ。パブロ・ラライン監督は、一見すると通れないように思える新しい方向を見いだすんだ」と時に詩的な表現を織り交ぜつつ、監督の魅力を解説する。
ペルショノーのキャラクター形成においてもラライン監督と打ち合わせを重ねたと明かし、「ペルショノーは、立派な警官でありたいという欲望を抱いている。過去も未来もないフィルム・ノワール的なキャラクターだ。いつも同じ服装で、立ったまま眠れる警官という感じのね。このキャラクターを娼婦の息子だと決めた時点で、その身体に魂が入り込んだ。ネルーダと対峙(たいじ)して、ペルショノーのアイデンティティを形成していかなければならないと思った。ペルショノーはネルーダに魅了されているのさ。彼が深い憤りを伴って敗北を認めた戦後の保守派の典型であること、そして彼の表面上の不安定さが、その独特な生気をつかむカギだったよ」と述懐した。
「ネルーダ 大いなる愛の逃亡者」は、11月11日から全国公開。
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トニー・レオンとアンディ・ラウが「インファナル・アフェア」シリーズ以来、およそ20年ぶりに共演した作品で、1980年代の香港バブル経済時代を舞台に巨額の金融詐欺事件を描いた。 イギリスによる植民地支配の終焉が近づいた1980年代の香港。海外でビジネスに失敗し、身ひとつで香港にやってきた野心家のチン・ヤッインは、悪質な違法取引を通じて香港に足場を築く。チンは80年代株式市場ブームの波に乗り、無一文から資産100億ドルの嘉文世紀グループを立ち上げ、一躍時代の寵児となる。そんなチンの陰謀に狙いを定めた汚職対策独立委員会(ICAC)のエリート捜査官ラウ・カイユンは、15年間の時間をかけ、粘り強くチンの捜査を進めていた。 凄腕詐欺師チン・ヤッイン役をトニー・レオンが、執念の捜査官ラウ・カイユン役をアンディ・ラウがそれぞれ演じる。監督、脚本を「インファナル・アフェア」3部作の脚本を手がけたフェリックス・チョンが務めた。香港で興行ランキング5週連続1位となるなど大ヒットを記録し、香港のアカデミー賞と言われる第42回香港電影金像奨で12部門にノミネートされ、トニー・レオンの主演男優賞など6部門を受賞した。
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