町山智浩、ゾンビ映画の父・ロメロの作品は「ニュース映像に近い」
2017年10月29日 03:00

[映画.com ニュース] 第30回東京国際映画祭のオールナイトイベント「ミッドナイト・フィルム・フェス!」として企画された「ジョージ・A・ロメロ フォーエバーナイト ~ロメロよ今夜もありがとう~」が10月28日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、映画評論家の町山智浩氏が上映前にトークショーを行った。
7月16日(現地時間)、肺がんのため死去した“ゾンビ映画の父”ジョージ・A・ロメロ監督。同企画にラインナップされたのは、ロメロ監督が本拠地としていたピッツバーグを舞台にした吸血鬼ホラー「マーティン 呪われた吸血少年」、1968年に発表した初監督作「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生」、米国劇場公開版の「ゾンビ」の3本。町山氏は「ロメロ監督は、常に私たちが“見ているもの”に対する恐怖を描いています。ニュース映像に近いものとしてゾンビ映画を撮っていた」と分析しているようだ。
まずは「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生」を例に挙げると、「彼の自宅まで行ってインタビューをしたんですが、はっきりと『その時に起こった出来事を描こうとしていた』と言っていました。それはベトナム戦争と、黒人と白人の人種対立。当時はテレビをつけると、今と違ってかなり暴力的な映像が流れていた。そこら中で殺し合いが起こっていて、事実をそのまま映画にしようとしたのが『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』」と説明。さらに「『ゾンビ』はショッピングモールが出来始めた頃の映画なんです。ショッピングモールは、地域に根付いた商店を潰し、アメリカを破壊した。行く場所もなくなり、人々が目的もなくモールをうろついている異常な状況を見て製作しています」とロメロ作品が常に“時代の写し鏡”だったことを指摘した。
「マーティン 呪われた吸血少年」について「上映されることが珍しい!」と興奮気味に語った町山氏。「主人公のマーティンは、血を吸わないとセックスができない青年。自分を吸血鬼だと信じているんです。彼が本当に吸血鬼なのか、もしくは妄想なのかはわからないように描かれている」と説明し「ロメロのカトリックに対する批判的な態度」として悪魔祓いのシーンについて言及した。「この作品は、カトリックにおける神と悪魔の考え方は事実というスタンスの『エクソシスト』が大ヒットした後につくられています。『マーティン』はその考えへの批判としてつくられていて、悪魔祓いのシーンは『エクソシスト』のパロディのようです」と語っていた。
そして「『マーティン』の物語は、次第に現実になっていく」としておぞましい事件を披露した。「公開された頃と同時期に、アメリカでマーティンと同じような人物が逮捕されたんです。それが“サクラメントの吸血鬼”リチャード・チェイス。多くの人を殺して、血を飲んでいた」というエピソードを明かすと「『マーティン』は、現実の社会に適応できず、吸血鬼ロマンに逃避してしまう人たちの出現を予言していた映画。自分が吸血鬼だと思って人を殺すという事件は、実際に世界中で発生しています」と言葉に熱を込めて解説していた。
なお3作品の上映前には「マーティン 呪われた吸血少年」のジョン・アンプラス、「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生」のジュディス・オディア、「ゾンビ」の撮影を担当したマイケル・ゴーニックのメッセージ映像も初披露された。第30回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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