「メッセージ」知的生命体の“呼吸音”は生春巻きから作った!?驚きの舞台裏映像公開
2017年10月16日 16:30
[映画.com ニュース] 「ブレードランナー 2049」(10月27日公開)が控えるドゥニ・ビルヌーブ監督が、「ノクターナル・アニマルズ」(11月3日公開)のエイミー・アダムスと組んだ「メッセージ」のブルーレイ&DVDに収録される特典映像の一部が、公開された。本作に登場する知的生命体“ヘプタポッド”の製作背景が語られている。
優れたSF作品に贈られるネビュラ賞を受賞した米作家テッド・チャン氏の短編小説を実写化し、第89回アカデミー賞で作品賞、監督賞を含む全8部門にノミネート、音響編集賞に輝いたSFドラマ。言語学者のルイーズ(アダムス)が、飛行体で地球にやってきたヘプタポッドが人類に発する“メッセージ”の意味を探っていく。
映像では、ヘプタポッドのラフデザインや、設定資料、初期のCGデザインなどがお披露目されている。ヘプタポッドとは、ギリシャ語で7本足を示す言葉。その名の通り、ヘプタポッドが7本の足を使って歩く様子や、ルイーズとの対面シーンの製作背景がひも解かれており、ファンにとっては貴重な内容となっている。視覚効果監修を務めたルイ・モランは「外見だけではなく、質感も考えた。ボディランゲージの使い方もね。ほぼ無重力状態で、どう文字を書きどう動くのか? 少しでも人間に似たものはドゥニ(・ビルヌーブ)が嫌がったんだ」と明かす。
ビルヌーブ監督は「エイリアンに求めたのは、クジラのような圧倒的な存在感だ。それから知性だね」と解説する。「一緒にデザインしたカルロス・ファンテは、『プロメテウス』などでも活躍している。彼のデザインには、望んだ通りの魂と存在感があった。型破りなデザインのエイリアンを製作陣が認めてくれて、本当によかったよ。現実を超越したような姿にしたかったからね。悪夢から抜け出てきた感じだ」。
映像では、ヘプタポッドの音声がどのように生み出されたのかも明かされる。サウンド・デザイナーのデイブ・ホワイトヘッドとミシェル・チャイルドは「“エイリアンの声に神聖な響きがほしい”と要望があった。色々想像が広がったよ。聖歌隊の声が響いてる感じとか、オルガンの低音が反響している感じとか、森の奥から聞こえる鳥の声とか……そういった発想を反映させて、エイリアンの声を作ったんだ。彼(ビルヌーブ)の指示の中でも何度も思い返した言葉は“神聖”なんだよ」(ホワイトヘッド)、「すごみがあって、でも同時に知的で優雅な感じよ。怪物とは違うの。映画を撮るとき、既存の映像素材は使わない。だから音響素材もできる限り新しく録ったの」(チャイルド)と語る。
声の素材を集めるため、ホワイトヘッドとチャイルドはニュージーランド全体を回って「山を3日も歩いて珍種のムクドリの声を録った。エリマキミツスイの声も録れたよ。低い声で鳴くニュージーランドの鳥で、エイリアンの声に使った」(ホワイトヘッド)という。チャイルドは、使用した楽器について言及し「バグパイプの音も録ったんだけど、すごく複雑な楽器だった。数本の管それぞれから違う音が出るの。先住民の楽器プトリノやディジュリドゥは演奏せず、息を通して音を録った」と語っている。さらに、ホワイトヘッドによれば「生春巻きに使うライスペーパーを用意して、大きな“肺”を作った。中に水を入れて膨らませて、エイリアンの呼吸音にしたんだ」と斬新なアイデアを取り入れて、未知の生物を作っていったという。
「メッセージ」ブルーレイ&DVDは、10月18日リリース(レンタルも同時)。
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