ひふみん「ダンケルク」に強い共感「不屈の闘志は将棋にも共通」
2017年9月13日 18:00

[映画.com ニュース] クリストファー・ノーラン監督が実話の映画化に初挑戦した「ダンケルク」(公開中)のトークイベントが9月13日、都内で行われ、“ひふみん”の愛称で親しまれる将棋棋士の加藤一二三氏とタレントの高樹千佳子が参加した。
第2次世界大戦中の1940年、フランスの港町ダンケルクでドイツ軍に包囲された英仏連合軍の兵士40万人を救うため、イギリスの輸送船や駆逐艦、民間船までもが動員された救出作戦「ダンケルクの戦い」を、“陸”“海”“空”の3つの視点から描く。
「ダンケルクの戦い」が起こった40年生まれの加藤氏は、劇中で展開する人間ドラマに「泣けてきました。青年2人が担架に兵士を担いで、走りに走って船に乗り込ませる。極限状態でも支え合い、どんな時も人間としてのあるべき姿を保っている。そこが素晴らしい」と絶賛。「不利な局面を持ちこたえている。勝った将棋ではないんですよ。40万人の兵士が無傷で帰れたからこそ、その後のノルマンディー上陸作戦の際に(兵力が)残っていて成功したんです。不屈の闘志というのは将棋にも共通する。自分は絶対に助かるんだ、負けないぞという信念ですね」と棋士目線で熱く語った。
加藤氏は、本作を見ていくなかで自身の棋士としての信条を重ねたといい「勇気をもって戦う。相手の面前で弱気を出さない。慌てないで落ち着いて戦う」という3つの心得を明かしながら、自身と劇中の兵士たちを比べて「『ダンケルク』の方が真剣勝負。兵士たちは、本当に本当の勝負というのが分かっているはず。私たちも真剣勝負ですが、命はかかっていませんからね(笑)」と語り、場内を和ませた。
本作はタイムサスペンスの側面も持っており、陸・海・空それぞれの兵士たちが追い詰められていくさまがスリリングに描かれている。加藤氏も将棋という時間制限があるなかで名人へと上り詰めたが「私は時間がない状況でずっと勝ってまして、名人になったときは残り時間1分だったんです。研ぎ澄ませた感覚を持っていると、短い時間の中でも正確な判断が出来て乗り切れる。直感の手が1番いい手なんですよ。直感力が優れているのがプロなんです。将棋は考えるものではない。ひらめくものなんです」と名言も飛び出した。
加藤氏の言葉に大きくうなずいていた高樹は「ずっと緊張しっぱなしで息つく間がなかった。これまでにないタイプの戦争映画だったとすごく感じましたね。流血シーンや殺し合うシーンがないので、苦手な方でも“戦争ってこういうものなんだ”と体験できる。映画史に残る作品の1つになると思います」と語った。「家事と育児は過酷ですが、『ダンケルク』に比べたらなんてことない! もっと頑張れる」と母親目線も付け加えた。
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