黒沢清監督と4度目タッグの作曲家・林祐介「散歩する侵略者」でレア楽器を多数使用!
2017年9月6日 15:15

[映画.com ニュース] 劇団「イキウメ」の人気舞台作品「散歩する侵略者」を映画化した黒沢清監督が9月5日、音楽を手がけた作曲家の林祐介とともに、都内でトークイベントを行った。今回のタッグの舞台裏を語ったほか、林がキーボードによる生演奏を披露した。
数日間の行方不明の後、夫・真治(松田龍平)が別人のようになった状態で帰宅し、変ぼうぶりに戸惑う妻・鳴海(長澤まさみ)。時を同じくして、ちまたでは不可思議な現象や一家惨殺事件が次々と発生し、真相を追うジャーナリスト・桜井(長谷川博己)は謎めいた若者たちに会ったことから騒動の真相を知る。
2003年の「ドッペルゲンガー」以降、本作が4度目のタッグとなる黒沢監督と林。「映画音楽とは物語の最後に解釈するもの」という黒沢監督は、音楽を依頼する際はキャラクターの感情に添うものではなく、物語に添った音楽をオーダーするという。本作においては「クラシカルな中にもSFらしさがある音楽を」と依頼したと明かした。
林はこの要望に応えるべく、普段の楽曲製作ではあまり使うことのない珍しい楽器を採用したそう。“オンド・マルトノ”と呼ばれる繊細な音階のコントロールができる電子楽器や、ホラー映画らしい音色が出る“ウォーターフォン”、低音が特徴的な民族楽器など、聞いたことのない楽器の数々に黒沢監督は「初めて知りました。びっくりです」と興味津々の様子で語った。
イベントでは、実際にサウンドトラックを聞きながら製作の背景を解説。真治が散歩するシーンに何度も使用されている「散歩する侵略者」という楽曲に関して、黒沢監督は「耳に残るようなフレーズの曲を何曲か入れてほしいと林さんにお願いしました。この曲はその1曲で、このシーンは怖くないんです、おかしいんです!とはっきりわかる曲ですよね」と印象を語る。対する林は「宇宙人が散歩するというブラックユーモアを、オーボエやミュートしたトランペットで表現しました。実は、劇中の真治の歩調に合わせて曲調を考えたんです」と明かし、参加者をうならせていた。
本作のメイン楽曲でもある「愛のテーマ」については、黒沢監督は「僕としては珍しく、わかりやすくて見た後に心に残るようなメロディの曲を作ってほしいとお願いしました。『シザーハンズ』や『夕陽のギャングたち』などのサントラや、エンニオ・モリコーネの曲をイメージで聴いてもらったり、女性のスキャットを入れてほしいなど、色々と難しい注文をしました。でも、林さんからできあがった曲を聞かせていただいたときに、これだ!と思いました」と笑みを浮かべた。
「散歩する侵略者」は、9月9日から全国公開。
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