「ダンケルク」で5度目のタッグ!キリアン・マーフィが語るノーラン監督の“独自性”
2017年8月14日 20:00

[映画.com ニュース] 「ダークナイト」や「インセプション」などクリストファー・ノーラン監督作品の常連俳優であるキリアン・マーフィが、最新タッグ作「ダンケルク」について語った。
ノーラン監督にとって初の実話の映画化となる本作。第2次世界大戦中の1940年、フランスの港町ダンケルクでドイツ軍に包囲された英仏連合軍の兵士40万人を救うため、イギリスの輸送船や駆逐艦、民間船までもが動員された救出作戦「ダンケルクの戦い」を、“陸”“海”“空”の3つの舞台で描く。マーフィは本作で、ドーバー海峡を漂流する“謎の英国兵士”を演じている。
ノーラン監督とは通算5度目のタッグとなるが「彼がまた声をかけてくれるのはうれしい。それに今回のは……、とにかく圧倒された」とこれまでの作品との違いを強調する。「この映画で僕が最初にハッとしたのは、これがアメリカの戦争映画ではないという点。アメリカの戦争映画には名作が多い。でも、現代の傑作戦争映画のリストを作ったとしても、僕はこの30~40年で、そのリストに入るべきだと思えるイギリス映画は1つも思いつかない。だから、そういう点にもフィルムメーカーとしてのクリスがひかれたんじゃないかな。彼はこのストーリーに、何かものすごくユニークなものがあり、これまでに映画で描かれていないということに気づいたんだと思う」とノーラン監督の心意気に共感し、共に新たな“英国の戦争映画”を生み出そうとしたという。
その中で、マーフィが演じる兵士は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を想起させるキャラクター。戦争に直面して精神を病み、パニック状態になって周囲に攻撃的になる姿からは、戦争の恐ろしさ、おぞましさが伝わってくる。マーフィは「僕が演じるキャラクターは、無数の兵士たちの体験を象徴していると思う。それは戦争というものが人に与えうる深い感情的、心理的なダメージなんだ」と解説し、「彼が最初に登場するのは、ダンケルクから兵士たちを撤収させるために英仏海峡を渡っている民間船の1つ、ムーンストーン号に助け上げられるところ。彼は、精神に影響を及ぼすほどの恐怖体験から生き延びたばかりなのに『いや、この船はあそこ(ダンケルク)に戻るところだ』と言われてしまうんだ」と演じたキャラクターに降りかかる悲劇について語る。
リアリティにこだわるノーラン監督は、本作でも実際に戦闘機を飛ばし、戦艦を浮かべ“本物”をフィルムに収めようと努めた。マーフィは「クリスの映画にあれだけの強烈さと、理屈抜きで訴えかけてくるものがあるのは、彼ができる限りのアクションを実際にカメラでとらえるんだという決意があるから。『インセプション』では、吹雪のなか、山腹で撮影したときに、完全に視界がきかなくなっても彼は撮影を続けた。俳優からとことん純粋な反応、あるいは正直な反応を引き出したいなら、実際の海に放り込んだり、本物の戦闘機スピットファイアを頭上に飛ばしたりするのが1番いい。観客は、俳優が実際にやっているというそのリアルさを感じるからね」とノーラン監督の製作スタイルを支持する。「何が1番すごいかというと、クリスが完全に平然としていること。クリスは最初から最後までコントロールを失わず、一旦必要な映像を撮ると、あっさりこう言う、『撮れた。次』って。彼の撮影現場は注意深く構成された仕組みのようなもので、決して混乱状態には感じられないんだ」。
「クリスの作品はいつも親密であり、非常に集中していて、極めて綿密だ。そして彼は常にカメラのそばにいる。それが僕にとってのクリスの映画なんだ」とノーラン監督を評したマーフィは、最も影響を受けた点を「彼のビジョン。映画に対する熱烈な意欲。そして映画全般に関する包括的な理解力だね」と明かす。「映像的に特出している監督、俳優、その演技に関してとても理解が深い監督、そして脚本の理解がすぐれている監督がいるが、クリスはそのすべてを把握している。映画に関する仕事の1つひとつを自分のものとして理解している。だから、クリストファー・ノーラン映画で仕事をする場合は最高の力を出さないといけないんだよ。さもないと、彼のほうがうまいから(笑)」とジョーク交じりに称賛した。
「ダンケルク」は、9月9日から全国公開。
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