松田龍平、長谷川博己がカンヌに登場 黒沢清監督「散歩する侵略者」お披露目
2017年5月24日 12:01
[映画.com ニュース]カンヌ映画祭の開催5日目を迎えた5月21日、ある視点部門に出品された黒沢清監督の「散歩する侵略者」が上映され、監督とともにキャストの松田龍平、長谷川博己が登壇した。映画祭のジェネラル・ディレクター、ティエリー・フレモーから「日本を代表する偉大な監督のひとり」と紹介を受けた黒沢監督は、「この作品は娯楽映画です。笑いもあり、涙もあり、サスペンスもある、楽しい作品に仕上がっています。ただ、その中にあるかすかな個性のようなものをカンヌ映画祭がめざとく発見してくれました。映画というものは、俳優やスタッフ、その時代などがたった一度だけ出会い、そのとき限りに作られる芸術なので、個性を発見されるのが一番の名誉だと思っています。みなさんにも、この映画のなかの特別な何かを感じて頂けたらとても嬉しいです」と語った。
その後松田がおもむろに、「緊張しています。メルシー!」と語ると会場には笑いと暖かい拍手が沸き起こった。松田は続いて「黒沢さんからはたくさんの影響を受けました。監督と長谷川さんと3人で、ここでみなさんに会えたことをとても幸せに思います」と語った。その後マイクを渡された長谷川は、いきなりフランス語で「ボンソワール、わたしの名前は“イロキ・アセガワ”」と、Hを発音しないフランス語流に発音。さらに日本語で、「でも本当はヒロキ・ハセガワといいます。この場に立てて、嬉しいです。憧れの黒沢監督の作品に出ることができ、素晴らしい演出も受けましたし、こうやってカンヌ映画祭というご褒美があったりすること自体、凄いことだと今あらためて感じています。楽しんで下さい」と語り拍手を浴びた。
本作は前川知大の戯曲を気に入った監督が、共同脚本も務め映画化したもの。SF的な「宇宙人の侵略もの」でありつつ、ビジュアル的にも物語的にも黒沢ワールドが展開され、ある夫婦のラブストーリーとも言える内容になっている。上映中は観客がむしろしんと集中している空気が漂っていたものの、客電が着くと大きな拍手で迎えられた。
上映後の会見で松田は、「お客さんの反応を感じながら見るのは、いろいろなことを考えさせられ、頭がぐるぐるしていました。でもプレッシャーのなかでも妙な高揚感や心地の良さがあって、終わったあと、映画っていいなとあらためて思いました」と発言。一方、今回ハードスケジュールにもかかわらず1日だけでもカンヌに滞在したいと渡仏した長谷川は、「本当に来られて良かったです。素晴らしい経験をさせて頂き、感謝で一杯です。外国でこちらのお客さんと一緒に見ることでまた違う空気を感じました。劇場でお客さんが入ることにより、作品もまた変わるのだということを肌で感じた。何より今日は天気もいいですし、最高ですね! 早く一杯やりたいです」と笑顔をのぞかせた。(佐藤久理子)
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