25年間かけて故郷を探し出した実話「LION」を“本人”はどう見た?
2017年4月7日 17:00

[映画.com ニュース] 5歳で迷子になった男性が、Google Earthを駆使して25年ぶりに生まれ故郷を見つけ出した実話を映画化し、第89回アカデミー賞で6部門の候補になった実話ドラマ「LION ライオン 25年目のただいま」の原作者であり、実際に体験した張本人のサルー・ブライアリー氏が初来日。映画.comのインタビューに応じ、映画版への思いを語った。
インドの貧しい村で暮らす5歳の少年サルー(サニー・パワールくん)は、停車中の長距離列車で眠り込み、言葉の通じない見知らぬ土地に運ばれてしまう。数奇な運命をたどりオーストラリアの夫婦の養子となったサルーは、大学のクラスメイトのアドバイスを受け、Google Earthで故郷を探し始める。「スラムドッグ$ミリオネア」のデブ・パテルが大人になったサルー、オスカー女優ニコール・キッドマンがサルーの養母スーを演じて共にオスカーノミネートされたほか、「キャロル」のルーニー・マーラがサルーの恋人ルーシーに扮する。
ブライアリー氏は、本作の初鑑賞時を振り返り「当時の自分になってしまった」と“再現度”に打ちのめされたという。「29年前に自分の身に起こったことが目の前で再現されるのを見て、最初の5分間は椅子にかじりついたようになって涙がどんどん出て止められなかったんだ。特にサニー・パワールくんが情報を得ようと走りまわっている姿からは、自分が電車に乗ったときやカルカッタに着いたときにどんな気持ちだったかがどんどんよみがえってきてしまったよ。映画だから情緒的にする必要があり(再現度は)100%とは言えないんだが、ほとんど正確だしすごくうれしく思っている。サニーやデブ・パテルがそれぞれの役をやってくれたんだけれど、本当によく似ていて自分の鏡像を見ているようで怖いくらいだった。それが俳優の仕事だとは思うんだけれど、それにしてもものすごく正確だったね」。
現在は、自身の経験を生かして世界中で講演を行うほか、インドで孤児院を営み、インドからオーストラリアへの養子縁組の支援活動を積極的に行うブライアリー氏。本作が果たした功績を「思った以上の結果がこの映画によって導かれている。地球規模でこういった子どもたちがいるという意識が高まっただろうし、当事者たちの勇気づけにもなった。この映画には人間性を高める部分があり、見た人は共感して何かをしたくなると思うんだ。自分の子どもがこうなったらどうだろう、自分がそうだったらどうだろう、とても生きていけないんじゃないか、何か助けてあげたい、と思わせる部分があると同時に、映画と同じような状況に自分がいる人が、助けを求めよう、親を捜してみよう、となるような2重の効果があると思うよ」と感慨深げに語る。
「映画というのは、人々を感動させたり意識を高めたり素晴らしい奇跡を起こせるメディアだ」というブライアリー氏は「この話を映画化してくださった人々は素晴らしい仕事をなさったわけで、また本作を認めてくれたアカデミー賞も保守的じゃなくいろんな新しいものにオープンなんだなと思ったよ。他にノミネートされた作品を見てもね」と「ムーンライト」が作品賞に輝いた第89回アカデミー賞を総括した。
「LION ライオン 25年目のただいま」は、4月7日から全国公開。
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