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山崎まどか「ムーンライト」の“核”は普遍性のあるラブロマンス

2017年3月16日 13:30

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作品の魅力を詩的に解説
作品の魅力を詩的に解説

[映画.com ニュース] 第89回アカデミー賞で作品賞、助演男優賞、脚色賞に輝いた「ムーンライト」の試写会が3月15日、都内で開催され、上映後にコラムニストの山崎まどか氏によるトークイベントが行われた。

アカデミー賞授賞式での世紀の誤発表を経ての作品賞受賞が大きな話題となった本作。マイアミに暮らす孤独な黒人少年の半生を3つの世代に分けて描き出す。貧困、セクシャルマイノリティ、ドラッグといった社会的なテーマを扱う作品ということもあって、山崎氏は「見る前はシリアスな社会派作品だと思っていたけれど、まったく違った! “ロマンス”の映画であるということに気持ちを持っていかれました」と語り、マイノリティの葛藤を描きつつも「普遍性がある」と明かした。

主人公のシャロンは全編を通して寡黙で、愛を語り合うようなセリフはほぼ登場しない。だが、登場人物たちの料理する姿、食べるときのちょっとした仕草など、直接の言葉ではなく視線や行動から「愛の言葉はなくとも愛に満ちている。シャロンが(心を許している幼なじみ)ケヴィンと肉体的に接触するシーンですら、ほとんど描かない。月光と海が2人を“さらす”のではなく守っている」と詩的な表現を織り交ぜて評した。

アカデミー賞受賞に関して、誤発表騒動の側面が大きく取り上げられがちだが、本作のバリー・ジェンキンス監督も、“ライバル”「ラ・ラ・ランド」を手がけたデイミアン・チャゼル監督も30代で、本作が長編2本目という点に触れ「彼らがアカデミー賞の頂点を争ったというのはすごい話」と“世代交代”や時代の変化にも言及。本作と同じブラッド・ピットの制作会社プランBによる「それでも夜は明ける」が、黒人を主人公にした映画としてアカデミー賞作品賞を初めて獲得したのが2014年。そして今回は、セクシャルマイノリティを描いた作品として初の戴冠。山崎氏は「いわゆる、ゴリゴリの“プロテスト”ではなく、柔らかく繊細な作品として出てきたのは、それを受容する社会も表している」と語った。

ムーンライト」は、3月31日から全国で公開。

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