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米ディズニーで働く日本人クリエイター、渡米のきっかけは父の金言

2017年3月13日 08:00

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取材に応じる成田裕明氏
取材に応じる成田裕明氏

[映画.com ニュース] ウォルト・ディズニー・アニメーションの最新作「モアナと伝説の海」が、3月10日から全国394スクリーンで封切られた。同作には、4人の日本人クリエイターが参加している。映画.comは米ロサンゼルスの同スタジオで、エフェクトを担当した成田裕明氏から話を聞いた。

成田氏が今作で担ったのは、海の描写。「海がひとつのキャラクターとして登場するので、どういう表情を水で表現できるかに注力しましたね。水に関してもチーム分けされていて、私のチームはパフォーマンスウォーター。水が意志を持って動くわけですよね。完全に意志のまま動いてしまうと、どうしても不自然な動きになってしまう。そこにシミュレーションをかけて、自然に見えるようにする作業も担当しました」。

作業を進めるうえで、海に「グレッツェン」というニックネームを付けたという。というのも、「最初は名前がなくて困っていたんですよ。“あれ”としか言いようがなくて。そうしたら、ひとりのスーパーバイザーが『グレッツェンと呼ぼう』と言ってくれて、それからは勝手にデータの名前もグレッツェンになっていきました」と振り返る。

成田氏は、兵庫県伊丹市出身。この業界を志すきっかけとなったのは、父からの金言ともいうべきアドバイスがあったようだ。「中学時代の進路相談で父に『実はスピルバーグみたいな監督になりたいねん』と言ったら、『おまえ、遅いわ』と。『ハリウッド映画を作りたかったら、英語をしゃべれなあかん。スピルバーグはおまえと同じくらいの頃からユニバーサルに出入りしたりして、自主制作映画を作ってたんやで。自分、してないやろ? ほな、どないする?』って指摘されまして、『アメリカ行くしかないなあ』って(笑)」。

高校時代にアメリカに1年間留学し、初めて受けたパソコンを使った授業に触発され、ビデオ編集という形で自主制作映画を作り始めた。帰国後も続けるうちに、無限の可能性を秘めたコンピューターグラフィックスに出合い、サンフランシスコの大学院ではジョージ・ルーカスのスタジオやピクサーで働く現役クリエイターから教えを受けたという。

それでも、在りし日の“成田少年”にとって最も大きな影響を与えたのは、父親であることは間違いない。「1993年に『ジュラシック・パーク』と『REX 恐竜物語』が同時期に公開されたんです。僕は『REX』が見たかった。そうしたら、父が『いやいや、絶対にジュラシックや!』と。本当に度肝を抜かれましたね」。

そう穏やかな口調で話す成田氏は、前述の通り、そもそもは映画監督を志望してこの業界に入っている。「常に自分の表現したいことを実現できるメディアを探している感じです。アニメと実写、僕は両方やっていますし。表現するものに適しているのならば、なんだって構わない。自分のアイデアを視覚化し、誰かと共有できるものを求めてきた感じです」。

ディズニープラス
モアナと伝説の海
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