「王様のためのホログラム」原作本にほれ込んだ監督、発売2日後に映画化を直談判!
2017年1月7日 16:00
[映画.com ニュース] 「クラウド アトラス」のトム・ティクバ監督が、トム・ハンクスと再タッグを組んだ「王様のためのホログラム」について語った。
ハンクスとエマ・ワトソンが共演する「The Circle(原題)」の原作も手がけた人気作家デイブ・エッガースの小説を映画化。ハンクス演じる会社員アランが、サウジアラビアの国王に画期的なテレビ会議システム「3Dホログラム」をプレゼンテーションするために四苦八苦するさまをユーモラスに描く。
ティクバ監督は、原作本が発売されて2日後には原作者のエッガースにコンタクトを取り、映画化を申し出たという。「とても力強くて即効性がある物語で、この作品は世界中をとりこにすると思ったんだ。ちょうど『クラウド アトラス』を撮り終えた直後だったんだけど、それだけ衝撃を受けた本だったからすぐに取りかかりたかった」。ティクバ監督は、原作を読んだ当時は主人公と同世代であり、それゆえに強く共感を抱いたと続ける。「この作品は物事に無関心で、誰からも必要とされていないと感じる世代の人が主人公だった。誰しも人生のある時点で、この興味深い恐怖を抱くものだ。さらに、これはビジネスがテーマだった。僕の父親が営業マンだったこともあって、主人公の葛藤に親近感を覚えたよ」。
まさに運命の出合いといえるが、思い入れの強い作品ほど俳優選びには苦労するもの。だが、ティクバ監督は「唯一この役を演じさせることができるのがトム・ハンクスだった。もしあの役を演じる役者を1人選ぶとしたら、死んでもトムしかない」とキッパリ。「(『クラウド アトラス』の撮影を通して)トムがいかに複雑に面白くなれるかということを知ったんだ。彼ほどあの役に完璧に合う人間はいない。アランは冗談も言うし、前向きでテンポが速く、(営業マンとして)公的に前向きな顔を出さないといけない。そんなアランを体現するには、“希望”を体現しなければならないんだ」とハンクスに絶大な信頼を寄せる。
冒頭、アランは右も左もわからない異国の地で苦労を重ねるが、ティクバ監督は「我々はアランを、アナログの世界から来た人だと考えた。今起こっている進歩などから、少し遅れているんだ。それは我々が、アナログな方式で撮影すべきだということを意味していた」とキャラクターの心情に沿った画作りを決意し、撮影前にサウジアラビアに1人旅を敢行してイメージを膨らませた。最終的に現地での撮影は却下されてしまい、モロッコで行われたものの「本当のフィルムとフィルム用のカメラを使って、本当のセルロイドを使う。実際に砂漠を運転している車の中にそれらを入れて、砂まみれになったり日差しの熱から逃れたりしつつ、ほかにも虫がいたり、砂漠で起こっていることすべてを体験しながら撮影したよ」とアラン同様の経験を経たと振り返った。
「王様のためのホログラム」は、2月10日から全国公開。