映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック
その他情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

【パリ発コラム】アニメ豊作の年、2016年のフランス映画界の動向を振り返る

2016年12月25日 15:00

リンクをコピーしました。
オマール・シー主演の 「Demain tout commence」
オマール・シー主演の 「Demain tout commence」

[映画.com ニュース] 年明けの賞レースを控え、この時期になると各メディアで年間の人気投票の結果が発表される。それを見ると今年の動向がわかるとともに、作品自体の評価と興行成績の乖離などがうかがえて興味深い。

たとえばカイエ・デュ・シネマ誌が選出した今年のベスト10本を見ると、1位にはドイツ映画の「Toni Erdmann」が選ばれている。今年のカンヌ国際映画祭のコンペティションに出品され喝采を浴びていたものの、審査員メンバーには黙殺された作品だ。そういえばカンヌでは、これと並んで評価の高かったジム・ジャームッシュの「Paterson」も無冠に終わり、審査員の見識に対してブーイングが上がっていた。

10本中フランス映画は5本を占め、ポール・バーホーベンがフランスで撮った「ELLE」が2位。ブリュノ・デュモンの「Ma Loute」が5位、7位にアラン・ギロディの「Rester vertical」、8位にアントナン・ペレジャコ(「7月14日の娘」)の「La Loi de la jungle」、10位にクレール・シモンのエコロジー系ドキュメンタリー「Le Bois dont les reves sont faits」が並ぶ。

もっとも、フランスでポピュラーな映画サイト、Allocineを見ると、一般観客による評価でトップに輝いたフランス映画は、カンヌでカメラドールを受賞したウーダ・ベニャミナの長編デビュー作「Divine」(原題)だ。移民の多いパリ郊外を舞台にしたいわば現代版「憎しみ」とも言えるが、思春期の少女たちをヒロインにした物語は、社会派というよりは寓話的な詩情と娯楽性が合わさったエンターテインメント(前回のコラムでも触れているのでご参照を)。続いてフランソワ・オゾンの「Frantz」も評価が高い。

とはいえ、評価と実際のボックスオフィスはまた別で、興行成績のトップに並ぶのは相変わらず大衆的なコメディがほとんどである。たとえば200万人以上の動員を記録した作品は、ジョジアンヌ・バラスコ主演の「Retour chez ma mere」 、ジャン・レノの「おかしなおかしな訪問者」シリーズ4作目「Les Visiteurs La Revolution」、ダニー・ブーン主演の「Radin!」と、「Camping 3」。驚くべきことに約460万人という今年最大の動員を記録したヒット作は、ジャン=ポール・ルーブ(「愛しき人生のつくりかた」)以外はフランスでも地味なキャストの「Les Touche 2」。1作目で宝くじに当たりリッチになった家族が今回はアメリカを訪れて珍道中を繰り広げるというコメディ。サシャ・バロン・コーエン主演の「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」フランス版と言ったらいささか大袈裟だろうか。

近日公開になった話題作としては、オマール・シー主演の「Demain tout commence」、オリビエ・アサイヤスクリステン・スチュワートを起用し、こちらもカンヌで披露された「Personal Shopper」、エマニュエル・ベルコ(「太陽のめざめ」)の新作「La Fille de Brest」などがある。とくにオマール・シーの主演作(ポスター)は、一週目で62万人の動員を記録。フランスで好感度ナンバー1を誇り実生活でも子煩悩という彼のイメージに見合った、逆境にめげない父親役を演じ、さまざまな観客層にアピールしそうだ。

今年はまたアニメが豊作の年でもあった。スタジオジブリ製作の「レッドタートル ある島の物語」をはじめ、アヌシー国際アニメーション映画祭で最高賞と観客賞をダブル受賞した「Ma vie de courgette」、同審査員賞を受賞した「La Jeune Fille sans mains」、さらに現在公開中の作品で「Louise en Hiver」と「Ballerina」がある。あらためて、フランス産アニメのオリジナリティを認識させられた年だった。(佐藤久理子)

オマール・シー の関連作を観る


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

関連コンテンツをチェック

シネマ映画.comで今すぐ見る

aftersun アフターサン

aftersun アフターサン NEW

父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。

愛のぬくもり

愛のぬくもり NEW

「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。

HOW TO HAVE SEX

HOW TO HAVE SEX NEW

ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。

卍 リバース

卍 リバース NEW

文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。

痴人の愛 リバース

痴人の愛 リバース NEW

奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。

セルビアンフィルム 4Kリマスター完全版

セルビアンフィルム 4Kリマスター完全版 NEW

内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。

おすすめ情報

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る

シネマ映画.comで今すぐ見る

他配信中作品を見る