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ギャレス・エドワーズ監督が「ローグ・ワン」に込めた新たなる“希望”

2016年12月15日 00:00

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メガホンをとった ギャレス・エドワーズ監督
メガホンをとった ギャレス・エドワーズ監督
(C)2016 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

[映画.com ニュース] 幼少期の夢を実現させられる人間が、どれほどいるだろうか。「モンスターズ 地球外生命体」で長編映画デビューしてから6年、「『スター・ウォーズ』の監督になるのが4歳からの夢だった」というギャレス・エドワーズ監督は、「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」でついにその夢をかなえた。来日したエドワーズ監督が、興奮の日々と、今作が伝える新たなメッセージを語った。

「エピソード3 シスの復讐」と「エピソード4 新たなる希望」の間に起こった秘話を映画化。帝国軍から最強の兵器デス・スターの設計図を奪おうとする反乱軍のはぐれ者集団“ローグ・ワン”の決死のミッションを描く。

憧れだったシリーズのメガホンをとる日々は「興奮することだらけで、毎日が素晴らしかった」と目を輝かせるが、そのなかでも自ら戦闘機Xウイングのコックピットでカメラを回したことは、特別な体験だったという。「まさに宇宙での戦闘の最中にいるみたいだった。降りてスタッフを見た瞬間『そうだ、ここはロンドンだった』って思い出して、『オーマイゴッド、僕たちはスター・ウォーズを作ってるんだ!』って思ったよ」

リアルな世界観やダークな表現が高い評価を得ているエドワーズ監督は、実験的に実際の戦争写真を加工することで、自らのカラーを織り込んだ今作の基礎を生み出した。「とてもリアルでエモーショナルなものができたけれど、そればかりだと『スター・ウォーズ』らしさを失ってしまうから、クラシカルなスタイルも入れ込んだよ。対比できることでより興味深いものになっていると思う」

これまでも「スター・ウォーズ」の生みの親であるジョージ・ルーカスからの評価が「最も大切」と公言してきたエドワーズ監督は、ルーカスが撮影現場に現れたときはパニックに陥ったという。「ダメ出しされるのを恐れていたんだけれど、彼はとても親切で応援してくれた。『お金を使いすぎじゃない?』とか『(セットを)建て過ぎじゃない?』とか冗談を言っていたね」

ほっとした表情で語るエドワーズ監督だったが、ルーカスのちょっとしたひと言に慌てたというエピソードも。「彼が使わない予定のストームトルーパーのヘルメットを見て、『これ良いね』って言ったんだ。みんな目を見合わせて『まずい、これは絶対に使わなきゃ……』って。なんとか使ったよ(笑)。戦車を運転しているストームトルーパーが被っているヘルメットがそれだよ」

ジョージ・ルーカスがルーク・スカイウォーカーに自身を投影したことを例にあげ、自身は、意図せずローグ・ワンのメンバーになったボーディー・ルック(リズ・アーメッド)に共感すると話す。「彼は戦争なんてしたくないし、巻き込まれたくない。世界一勇敢な男でも、1番格好いい奴でもなくて、苦悩しているんだ。みんなヒーロー願望はあるけれど、きっとボーディーの方が普通の人間。僕も戦争なんて怖いし、犠牲を払って正しいことをするのはとても大変だと思う」

さらに、監督としての思いを、デス・スターを作り上げるために奔走する帝国軍将校オーソン・クレニック(ベン・メンデルソーン)に重ねる。「僕は今『スター・ウォーズ』の監督だけれど、このシリーズを手放さなければならないから、彼のフラストレーションが理解できるんだ。クレニックは権力者だけれど、きっとずっとは続かない。それが僕の状況に似ていて、同情しちゃうよ。彼は僕よりもちょっとだけ悪い奴だけどね(笑)」

これまで“父と息子”や“贖罪”がテーマとして描かれてきた同シリーズ。今作のテーマを聞くと、この上ない説得力を持って込めた思いを語ってくれた。

「“希望”です。今作では様々な文化、意見を持つ人々が集まって、不可能と思えることに挑む。昔は善対悪とはっきり言えたけれど、現実には完全なる善や悪はなくて、人間はグレーなものだと分かっているよね。それが今までの『スター・ウォーズ』とは違う、新しい考え方だと思う。登場人物は皆問題や欠点があったり、過去に悪い事をしていたりする。そこに、超人的な能力がなくても、選ばれし者として生まれなくても、自ら決断して実行すれば物事は成せるんだというメッセージが込められているよ」

37年越しの夢をかなえたエドワーズ監督が作り上げた“希望”は、39年前の“新たなる希望”につながってゆく。

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