綾野剛&園子温監督「新宿スワンII」で強固になった絆 そして広瀬アリスという“新風”
2016年12月12日 08:00
[映画.com ニュース] 綾野剛と園子温監督がタッグを組み、興行収入13億円を記録した映画「新宿スワン」の新章「新宿スワンII」の撮影現場が、報道陣に公開され、綾野、園監督、ヒロイン役で新たに参戦した広瀬アリスが取材に応じた。
和久井健氏の人気コミックを映画化した「新宿スワン」は、眠らない歓楽街・歌舞伎町で繰り広げられるスカウトマンたちの闘争を描いた。今作は原作でも人気の高い「横浜編」を題材に、主人公・白鳥龍彦(綾野)が横浜ウィザード社長・滝マサキ(浅野忠信)に挑むさまを映し出す。再び金髪に染め上げた綾野は、「前作が終わって、やり切れたという思いがあった。一方で『まだ終われない』という気持ちもあった。もっと龍彦として生きたかった」と回顧する。
報道陣が訪れたのは、今年3月に神奈川・横浜の大桟橋付近で行われたロケ現場。横浜に乗り込んできた龍彦ら新宿バーストのメンバーがスカウトに勤しむなか、滝率いる横浜ウィザードと出くわす。龍彦と滝が縄張りをめぐって対峙し、取り巻きたちが肩を怒らせる一触即発の状況に。手を触れようものなら即座に暴発する緊張感が、あたりに張りつめた。
綾野は園監督作「愛のむきだし」(2008)に暴走族幹部役で参加したが、人見知りの同監督と意気投合したのは、前作「新宿スワン」クランクイン前、東京・新宿のゴールデン街だったそうだ。綾野が「この作品でパーソナルな部分で近づいた。僕自身も園子温という監督に惚れました」と信頼を寄せれば、園監督も「『スワン』が終わってからしょっちゅう会っているし、『II』で改めて話し合うこともなかった。『スワン』以降の映画も、編集過程で不安だったら、綾野くんに見てもらっていました」と同意する。本シリーズを経て、絆はより壊れがたいものとなった。
撮影中、園監督が「あいつ(綾野)は『愛のむきだし』から、8年でここまで来たんだよなあ」とつぶやく姿が印象的だった。綾野は「嬉しいです。今作のカメラマンさんは『愛のむきだし』の谷川創平さんですし、僕を覚えてくれていた」と相好を崩す。園監督は「僕は女優を見抜く目はあるけど、男を見抜く目はなかったと落ち込んだり。綾野くんの時、何で『原石がいるぞ!』と言えなかったんだろう」と首をひねった。
一方で、キャバクラ嬢役に初挑戦した広瀬は不安の面持ちだ。「正直、マイナスなことしか考えなかったです。撮影初日もほとんど記憶がないくらい。毎回セリフが飛んでしまっていました」。抜き身のナイフのようなキャスト陣の空気感になじむことは容易ではなく、加えてイメージを覆す役どころなだけに「心情をつかめていないのでは」と恐怖がつきまとった。
そんな恐怖を和らげたのは、綾野の「役の心情をつかみきれないということは、自分自身をつかみきれないように、それほど役を愛しているから」という言葉だった。綾野は「撮影中、何回も驚かされました。凛としていて経験を存分に生かしている」と褒めちぎり、園監督も「天性の芝居力がある」と太鼓判を押した。
園監督が「作品の要です。綾野くんも驚いていたけど、初日にものすごく良い芝居をした」と明かすと、広瀬は「本当ですか? 監督は何も言ってくれないんです」と頬をふくらませる。これを受けた綾野は「役はある程度現場に来て作っていくものですが、園さんは何も考えずに空っぽで来られるのは嫌なんです。考えてくると『やって見せて。OK、じゃあ本番』と。初めての人は演出されていない気分になるんでしょう」と“園メソッド”を説明し、園監督は「こんなキラキラした人と、何を話したらいいの。現場で近寄ってくるだけで、勘弁してくれってなる」と目尻を下げっぱなしだった。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
十一人の賊軍 NEW
【本音レビュー】嘘があふれる世界で、本作はただリアルを突きつける。偽物はいらない。本物を観ろ。
提供:東映
映画料金が500円になる“裏ワザ” NEW
【仰天】「2000円は高い」という、あなただけに伝授…期間限定の最強キャンペーンに急げ!
提供:KDDI
グラディエーターII 英雄を呼ぶ声 NEW
【人生最高の映画は?】彼らは即答する、「グラディエーター」だと…最新作に「今年ベスト」究極の絶賛
提供:東和ピクチャーズ
ヴェノム ザ・ラストダンス NEW
【最高の最終章だった】まさかの涙腺大決壊…すべての感情がバグり、ラストは涙で視界がぼやける
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
“サイコパス”、最愛の娘とライブへ行く
ライブ会場に300人の警察!! 「シックス・センス」監督が贈る予測不能の極上スリラー!
提供:ワーナー・ブラザース映画
予告編だけでめちゃくちゃ面白そう
見たことも聞いたこともない物語! 私たちの「コレ観たかった」全部入り“新傑作”誕生か!?
提供:ワーナー・ブラザース映画
八犬伝
【90%の観客が「想像超えた面白さ」と回答】「ゴジラ-1.0」監督も心酔した“前代未聞”の渾身作
提供:キノフィルムズ
追加料金ナシで映画館を極上にする方法、こっそり教えます
【利用すると「こんなすごいの!?」と絶句】案件とか関係なしに、シンプルにめちゃ良いのでオススメ
提供:TOHOシネマズ
ジョーカー フォリ・ア・ドゥ
【ネタバレ解説・考察】“賛否両論の衝撃作”を100倍味わう徹底攻略ガイド あのシーンの意味は?
提供:ワーナー・ブラザース映画
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。ジャーナリストとしての使命感と狂気の間で揺れ動く藤井役を山田孝之、死刑囚・須藤をピエール瀧が演じ、「先生」役でリリー・フランキーが初の悪役に挑む。故・若松孝二監督に師事した白石和彌がメガホンをとった。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
ハングルを作り出したことで知られる世宗大王と、彼に仕えた科学者チョン・ヨンシルの身分を超えた熱い絆を描いた韓国の歴史ロマン。「ベルリンファイル」のハン・ソッキュが世宗大王、「悪いやつら」のチェ・ミンシクがチャン・ヨンシルを演じ、2人にとっては「シュリ」以来20年ぶりの共演作となった。朝鮮王朝が明国の影響下にあった時代。第4代王・世宗は、奴婢の身分ながら科学者として才能にあふれたチャン・ヨンシルを武官に任命し、ヨンシルは、豊富な科学知識と高い技術力で水時計や天体観測機器を次々と発明し、庶民の生活に大いに貢献する。また、朝鮮の自立を成し遂げたい世宗は、朝鮮独自の文字であるハングルを作ろうと考えていた。2人は身分の差を超え、特別な絆を結んでいくが、朝鮮の独立を許さない明からの攻撃を恐れた臣下たちは、秘密裏に2人を引き離そうとする。監督は「四月の雪」「ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女」のホ・ジノ。