江崎慎平監督&脚本家・岸本卓「モンスターストライク THE MOVIE」はあの名作にオマージュ!
2016年12月9日 17:00
[映画.com ニュース] 全世界累計利用者数3500万人以上を誇る人気ゲームアプリ「モンスターストライク」(モンスト)の劇場版長編アニメ「モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ」でタッグを組んだ江崎慎平監督と脚本家の岸本卓が、製作の舞台裏を語った。
アニメ版「モンスターストライク」は、2015年10月にYouTubeで配信が始まり、総再生回数1億回を突破する人気コンテンツに。配信開始から約1年を経て製作された映画版には、「ガンスリンガー ストラトス」の江崎監督と「ハイキュー!!」「僕だけがいない街」の岸本が加わり、主人公・焔レンたちの幼少期を描く物語が展開する。
YouTube版アニメは1話が7分と短いため、映画版に再構築することを求められた。江崎監督は「YouTube版を“先生”としてとらえていた」と語り、「キャラクター性はYouTube版を見て『なるほど、こういうキャラクターなのか』と思ったことと、戦闘するときのギミックをYouTube版を参考に洗い出して、どういう段取りでやるのか(考えていった)」と振り返る。対する岸本は「(YouTube版は)瞬発力で作っている感じがありましたよね。ギャグの切れ味とか、オラゴンに代表されるようなキャラクターだったり。映画はそういう意味では対極」と考察し、「2時間だからできるものを」とドラマ部分に注力したと語る。
YouTube版ではレンたちは幼少期の記憶を失っており、劇場版ではその謎やアプリ「モンスト」の起源が明かされるとともに、レンと仲間がドラゴンと旅に出るなど、アドベンチャー要素も満載。江崎監督と岸本は、それぞれに「スタンド・バイ・ミー」と「グーニーズ」という少年たちを主人公にした傑作冒険譚2編を“精神的支柱”として挙げ、本作の魅力を解説する。「劇場版モンストには、『スタンド・バイ・ミー』へのオマージュとしてのカットも存在しているんですが、具体的なことより僕があの映画で好きなのは、子どもたちが死体探しの旅に出て、帰ってきたら自分たちの街が小さく見えているという部分。その旅を経ることで、より広い世界を見てきたってことじゃないですか。そんな精神を取り入れたくて、東京近郊の都会に住んでいるレンたちが街を離れ、見たこともないような田舎に行くっていうことを風景に語らせたかった。段々と人工物に囲まれた都会から自然豊かな田舎になっていく、その部分を意識しました」(江崎監督)。
「『グーニーズ』は、冒険物語だけど超常現象が起きて不思議の国に飛んじゃってという展開ではなくて、今生きているこの街の中で冒険できるという部分が魅力的でした。要するに何気ない日常の風景が、あるきっかけを経て冒険の入り口に変ぼうする、みたいな地続きの冒険というのが『グーニーズ』の好きな点です。まさにこの劇場版モンストでも、“何気ないのに冒険”というか、“子どもたちだけで電車に乗ることが冒険”、“見知らぬ街の公園でお弁当を食べることが冒険”、“一晩過ごすことが冒険”といった感じが出せればよいなと思っていました。一言で言うと、“この世の中は冒険に満ちている!”です(笑)」(岸本)。江崎監督は、岸本の言葉を受け「子ども時代というのは誰もが体験するんだけど、渦中にいる子どもの頃はその貴重さに気づかないし、大人になると忘れてしまう。子どもにとっても大人にとっても、世界の美しさを再確認できる作品になればうれしいです」と総括した。
「モンスターストライク THE MOVIE」は、YouTube版からのキャストに加え、坂本真綾、村中知、水樹奈々、山寺宏一、北大路欣也といった豪華メンバーが新たに参加する。12月10日から全国公開。