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美しい悪夢描く「エヴォリューション」、「絵空事にリアル感を与えること」に画家の諏訪敦氏が共感

2016年11月23日 23:00

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画家の諏訪敦氏(左)と「美術手帖」編集長の岩渕貞哉氏
画家の諏訪敦氏(左)と「美術手帖」編集長の岩渕貞哉氏

[映画.com ニュース] 「エコール」のルシール・アザリロビック監督の新作「エヴォリューション」の試写会イベントが東京・品川の原美術館で11月23日あり、画家の諏訪敦氏が作品の魅力を語った。

映画は、女性と少年だけが暮らす謎めいた島で繰り広げられる、美しくも恐ろしい“悪夢”を描いた異色ドラマ。諏訪氏は「怖かったです。実は『エコール』はついていけなかったのですが、今作は全然違うテイストで驚いた」と感想を述べ、「絵空事にリアル感を与えることが、(画家である自身の表現と)共通していて情熱を感じた」と語る。さらに、劇中で主人公の少年が描いた絵画が物語の核心に迫るモチーフの一つとなっていることについて、「小さな絵ですが、重要なキーとして使われているのが画家としてうれしい。(劇中の登場人物が)絵から人間的な発露を見出したのでは」と分析した。

また、諏訪氏は、「フリーダ・カーロの遺品 石内都、織るように」の小谷忠典監督が、諏訪氏の制作に密着したドキュメンタリーを撮っていることを明かし、現在取り組んでいる作品の制作過程をスライドと共に解説した。

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聞き手を務めた「美術手帖」編集長の岩渕貞哉氏は、アザリロビック監督が、シュルレアリスム絵画の影響を受けたというエピソードを紹介。アザリロビック監督が、フランスの鬼才ギャスパー・ノエ監督の公私にわたるパートナーであることに触れ「マックス・エルンストとドロテア・タニング、イブ・タンギーとケイ・セージのようにシュルレアリストの作家は奥さんもシュルレアリストの場合が多い」と芸術家カップルの名を挙げる。さらに、会場となった原美術館で開催中の写真家・篠山紀信の展示について「人間がマネキンのように置かれ、ジョルジョ・デ・キリコ、ポール・デルヴォーの(絵画の)ような浮遊感がある。白い建物がこの映画に出てくる病院を思わせる」と映画と展覧会との共通点を語った。

エヴォリューション」は11月26日アップリンク渋谷、新宿シネマカリテで公開、アザリロビック監督が2014年に発表した短編「ネクター」を限定併映する。原美術館では篠山紀信氏が、壇蜜ら33人のモデルのヌードを館内で撮り下ろした写真展「篠山紀信展 快楽の館」が2017年1月9日まで開催中。

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