名匠O・イオセリアーニが来日 「大人として理性を持つ人に向けて映画を作っている」
2016年11月7日 19:30

[映画.com ニュース] 最新作「皆さま、ごきげんよう」の公開を控えた名匠オタール・イオセリアーニ監督が来日し、11月7日、岩波ホールで会見した。
現在82歳のイオセリアーニ監督による最新作は、フランス革命、戦時中、そして現代と、時代が違っても、変わることなく繰り返される人間の営み、混沌とする社会の不条理を、反骨精神たっぷりのユーモアで描く独創的な作品。様々な時代のパリを舞台にした理由を問われると「私は撮影地がどこなのかや、背景は気にしません。紙で作られたセットでも問題ないのです。私が描きたいのは、人々の間で起きていること。パリの年代記を作ろうという気はありません」と話す。
自身の作品は「大人として理性を持つ人に向けて作っている」と説明し、「ハリウッド映画などの対象は10代から20代半ばです。皆いつも同じような、口当たりの良い作品ばかりを見て育ち、紋切り型に慣れてしまっている」「この地上に生まれ、一度しかない人生について考察することがなくなってしまった。それはかつては文学が担ってきたものでした。しかし、今の文学は精神生活に興味を持たなくなり、人を楽しませるものになっています。映画にしても同じで、芸術ではなくなってしまっているのです」と、世界的にブロックバスター映画が氾濫し、作家主義的な作品の観客が減っている現状を憂いた。
今回、5年ぶりの来日となった。「なぜ私は日本に来ているのか、それは日本の皆さんに、わずかな良い趣味のかけらのようなものが少し残っているのではと信じているのです」と呼びかけ、「20世紀初めの東京は素晴らしかった、無秩序で生き生きとしていました」と述懐する。しかし、現在の東京は「冷たい街になってしまった。道でたばこを吸うこともできず、灰皿の周りがチェーンで囲ってあります。誰もそれに異議を申し立てる人もいません(笑)」と規律正しい現代の日本社会に息苦しさを感じていると明かす。
さらに、「友人が松尾芭蕉の本をくれました。そういった友人を持つことがすばらしいのです。今の人たちは芭蕉を読まなくなる、そういう危険を冒しているのではないでしょうか」と、若者の文学離れにも警鐘を鳴らしていた。
「皆さま、ごきげんよう」は、12月17日から岩波ホールほか全国で順次公開。
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

“最高&最幸”の一作!
【過去最高の評価!最も泣いた!】ありがとう、そして…さようなら!? 結末は絶対に観て…!
提供:キノフィルムズ

“ハリポタファン”に熱烈に推したい
【夢のような空間がここにある】GWにぜひ堪能してほしい特別な体験【忖度なし正直レビュー】
提供:ワーナー ブラザース スタジオ ジャパン

たべっ子どうぶつ THE MOVIE
【裏切りすんごい】キッズ向けとナメてたら…全然“甘くなかった”!!嘘やろ、こんな…ええんか…?
提供:クロックワークス、TBSテレビ

地上波では絶対ムリな超過激作
【超暴力的・コンプラガン無視!】狂キャラが常軌を逸した大暴れ!!【敵の事務所にロケットランチャー】
提供:DMM TV

マインクラフト ザ・ムービー
【予想の5倍面白かった】そして、この映画で人生がレベルアップする【息つく間もない“楽しさ”連続】
提供:ワーナー・ブラザース映画

サメ!ゾンビ!ガメラ!
【狂った名作・怪作が無料大量放送】人類終了のお知らせ! ありがとう“GWの夜”が決まった
提供:BS12

なんだこの強烈に面白そうな映画は!?!?
【尋常じゃなく面白そうな6つの魅力】予告だけで「めちゃくちゃ良さそう」が湧き上がる…観なければ!
提供:ディズニー