ジョージアの映画監督オタール・イオセリアーニが死去、89歳
2023年12月18日 11:30
ジョージアの映画監督オタール・イオセリアーニが12月17日(現地時間)、トビリシで死去したと欧州複数メディアが報じた。89歳だった。
1953年、旧ソビエト連邦のグルジア(現ジョージア)生まれ。国立映画学院在学中にトビリシのグルジアフィルム・スタジオで働き始め、最初は助監督として、次いでドキュメンタリーの編集に携わる。62年に発表した中編「四月」が、旧ソ連で「抽象的、形式主義的」という理由から上映禁止となり、しばらく映画製作を断念。66年、初の長編映画「落葉」が、68年のカンヌ国際映画祭の批評家週間で上映され、同映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。しかし、度重なる上映禁止など制限を受け、1979年から活動の拠点をフランスに移し、1984年に「月の寵児たち」でベネチア国際映画祭の審査員特別グランプリを受賞。「素敵な歌と舟はゆく」(99)の国際的なヒットで日本でも知名度を得、「月曜日に乾杯!」(02)はベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞した。
時に戦争や犯罪、社会の不条理というテーマを扱いながら、変わることなく繰り返される人間の営み、愛や友情、希望を、アイロニーと反骨精神たっぷりのユーモアで描く作風で人気を博した。今年2月、イオセリアーニ監督の全監督作21本をデジタル・リマスター版で上映する、「オタール・イオセリアーニ映画祭 ジョージア、そしてパリ」が日本で開催された。