「光」ヒロインの水崎綾女 住み込み撮影の河瀬流に「幸せ」
2016年10月31日 07:00
[映画.com ニュース] 永瀬正敏主演「光」(監督・河瀬直美)でヒロイン美佐子役を務めるのは、「俺たちに明日はないッス」(2008)で映画デビューし、「進撃の巨人」(15)などで注目されている水崎綾女(みさき・あやめ)。「感情をそのまま出しているところがいい」とオーディションで選ばれた。約3分の1の撮影を終えた水崎が、河瀬組ならではの現場の様子を語った。
バリアフリー映画の音声ガイドを務める美佐子は世間との交わりを拒絶し、孤独に生きる。「その砂の行方」という作品の視覚障害者向けのモニター会で、弱視のカメラマン(永瀬)と出会い、生き方に徐々に変化が現れていく…。
水崎は、河瀬監督の存在をまったく知らなかったそうで、「ウィキペディアで調べて、ドキュメンタリーの人だと思ったくらいでした。それがよかったようで、余計な重い荷物を背負わず、すっと入ってこられた」と話す。
役そのものを生きることを要求する河瀬監督流の演出に従い、クランクイン4日前の10月12日に奈良入り。美佐子の自宅という設定のマンションで住み込みを始めた。「役が住んでいる部屋に実際に住むことができることはないですから、すごく幸せな状況です。撮影隊が私の家に来て、撮っていくのは、不思議な感覚ですね」と笑う。
途中段階の台本は読んでいるが、最終台本はいまだ渡されていない。「前日に翌日の撮影分だけが渡されるんです。それでも、セリフには苦労はしていません。美佐子として生きているので、長いセリフも言えてしまうんです。役作りをしなくても、自分が体験することで、それが積み重なっていく。しかも、順撮りです。そういうことが経験できる日本作品はありませんよね」と充実ぶりを語る。
ただ、当初は役を消化し切れず、食事も喉を通らなかった。「1週間くらい断食状態でした。このところ、やっと味噌汁くらいなら口に入れることができました」と打ち明ける。私生活では7月11日に一般男性と結婚したばかり。数日間連絡を断ったことから、夫からは「ケータイ落としたの?」と心配された。「『撮影が終わるまで連絡を取らないので、待って下さい』と言いました。旦那さんや家族のことを気にかけたら、甘えてしまう。今は美佐子なんです。誰にも甘えずに生きていきたい」と役に没頭している。
ほかのキャストは、美佐子の上司、智子役と劇中映画「その砂の行方」の女優役は舞台から映画・ドラマへ活躍の場を広げる神野三鈴、「その砂の行方」の主演と監督役は、ベテランの藤竜也が演じる。
映画は11月中旬、クランクアップ予定。2017年公開。キノシタ・マネージメントと仏コム・デ・シネマの製作で、キノフィルムズが配給する。