カンヌ受賞でも生活は厳しい… 深田晃司監督、独立系映画監督の窮状を訴える
2016年9月18日 18:40
[映画.com ニュース] 日本発の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル」と、開催中の第4回なら国際映画祭のコラボイベント「Road to Canne」が9月18日、奈良市内で行われ、別所哲也と河瀬直美監督、深田晃司監督が、両映画祭から選ばれた若手日本人映像作家と共にトークを行った。
イベントは、「海外映画祭でも通用する作品づくりとは何か?」を議論し、情報交換をする場として開催された。河瀬監督は昨年、別所主演の短編「嘘 LIES」を発表しており、別所は「河瀬さんが監督をやりながら、映画祭をやっていることに興味を抱き、共感した。映像作家が世界に出て行ったり、出て行くのがどういうことかを語れる場を作りたい」と初のコラボイベントの趣旨を説明した。
数多くの海外映画祭に参加している河瀬監督は「中国の若手がどんどん出てきて、あれよあれよと日本人監督の数を抜いていくような感じ。釜山がアジア映画祭のNo.1となっていて、国もお金をかけている」と、勢いのある東アジアの才能の台頭を肌で感じている様子。さらに、「インターナショナルという意味では、英語力がないとアピールできない。ない場合はプロデューサーに英語力がないと」と語学力の重要性を説く。「海外の映画学校はインターナショナルで、いろんな意見が飛び交う。否定しているだけでは監督になれないし、黙って匠のようでも何をやっているか理解されない。真っ当なことを真っ当な意見で言えるように訓練させている」と、世界で認められるためにはコミュニケーション力も必要であると話した。
今年のカンヌ映画祭で「淵に立つ」が「ある視点」部門審査員賞を受賞した深田監督は「海外に行って実感したことは、自分の言葉を持っているかどうかが重要。今は誰でも映画が作れる時代なので、どういう映画をつくるのかが重要になってくる。それが作家性。技術的にうまい下手ではないが、自分がどのように世界を見ているサインを見せられるかどうか。海外に出るためには、自分の言葉をどう持てるかが大事。僕は自分が書いたステートメントが決め手で、『淵に立つ』にMK2(フランスの映画配給会社)の参加が決まった」と語る。
その後、良いプロデューサーを見つけることが重要だという話題に移り、深田監督は他国に比べ、日本では若い才能を支援する制度が手薄いことを嘆く。「僕は貧乏に強いという才能で、やっていけている。韓国などでは新人の方が助成金は手厚いそう。日本では経済的に恵まれている人だけが作品を発表できる状況」という。深田監督自身も長年結婚式の撮影のアルバイトで生活資金を得ていたと明かし、「来月も家賃が払えるか…」とポロリ。「憲法の保障する文化的な生活が送りたい。映画監督が高校生の進路の一つとして選べるような業界でなければ」と訴えた。
イベントに参加した20代の男性は、映画に携わるようになって「憧れていた監督がみんな貧乏で驚いた」ことが、監督ではなくプロデューサーを志望するきっかけになったと明かし、「映画で御殿を立てられるような業界にしたい。映画監督がみんな年収1500万稼げるような夢のある業界にしたい」と意欲を見せていた。
また、河瀬監督は監督志望の女性に対し、「カンヌでも、女性監督はマイノリティの中のマイノリティ。目立つので、どれだけアプローチができるかが大事」「いい彼氏を見つけること」とアドバイスしていた。
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