仲代達矢&野上照代「七人の侍」4Kデジタル上映に涙「黒澤監督に見せたかった」
2016年9月13日 16:08
[映画.com ニュース]黒澤明監督の代表作「七人の侍」(1954)4Kデジタルリマスター版が9月13日、開催中の「午前十時の映画祭7」で上映され、出演の仲代達矢、黒澤組スクリプターの野上照代氏が東京・TOHOシネマズ日本橋でのトークショーに出席した。
世界の映画人に影響を与えた名作が、細部に至るまで極めてクリアに復元された。観客とともに鑑賞した野上氏は、「さっき、泣いちゃった。黒澤さんに見せたかった。見たら喜ぶよ。また泣けてきちゃった」と涙。仲代も「大きな画面で久しぶりに拝見しました。大巨人・黒澤明、いやあ、すさまじい映画ですね」と最敬礼で、「名作は時空を超えると申します。今日は涙を流して拝見しました」と話した。
セリフが聞き取りづらいことが難点とされていたが、最新技術を駆使しノイズも除去されている。野上氏は「三船(敏郎)ちゃんもセリフがわからないって言われていて、かわいそうだった。呼んで見せてあげたいよ」としみじみ。「三船ちゃんの発音が悪いとも言われていたけど、(デジタルリマスターでは)よくわかりますよね」と観客に語りかけていた。
数秒ながらも町を歩く浪人役で出演した仲代は、撮影当時を「映画初出演ですからね、生まれて初めてちょんまげつけて、刀も初めて。(本番で)ひょこひょこ歩いたら監督に『なんだその歩き方』と言われた」と苦笑交じりに振り返る。スクリーンに映し出された出演時の写真をしげしげと眺めながら、「朝の9時開始で、『しょうがない、OK』と言われたのが15時でした。ワンカットだけだったのに、200人くらい待たせて。屈辱的な思いをしましたが、役者は歩き方だなと思いました」と明かすと、野上氏も「俳優は歩き方を見ればわかる。重要ですよね」と同調した。
さらに、黒澤組を見守り続けてきた野上氏は「黒澤さんが44歳のころに『七人の侍』を撮った。あのころのエネルギーはすごいですよ。『俺だって、二度とあんなのできない』と言っていた」と目を細める。仲代は「数年前アメリカで『乱』を上映していただきましたが、映画は大きなスクリーンで見ようという運動が起きていました」と述べたうえで、「テレビやパソコンで簡単に見られる時代に、劇場に来てお金を払っていただくわけですから、そのためには我々つくり手が『七人の侍』のような素敵な作品を作らないといけない」と表情を引き締めていた。
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