70年代チリのクーデターを3部構成で映す パトリシオ・グスマン「チリの闘い」予告
2016年8月3日 07:00
[映画.com ニュース] 「光のノスタルジア」「真珠のボタン」で知られるチリのパトリシオ・グスマン監督が、1975年から78年にかけて手がけた3部構成のドキュメンタリー「チリの闘い」の予告編が公開された。
1973年に起きたクーデターをきっかけにフランスへ亡命したグスマン監督が、当時のチリにおける政治的緊張と社会主義政権の終焉を記録。フィルムは奇跡的に国外に持ち出され、クリス・マルケルやキューバ映画芸術産業庁(ICAIC)の支援を得て、完成させた。映画は、75年製作の第1部「ブルジョワジーの叛乱」(96分)、76年製作の第2部「クーデター」(88分)、78年製作の第3部「民衆の力」(79分)の3部作で、劇場では3つをあわせた263分(4時間23分)の作品として公開される。
東西冷戦下の70年代、チリでは選挙で選ばれた社会主義政権が誕生し、「反帝国主義」「平和革命」を掲げて世界的な注目を集めた。しかし、その改革路線が国内の保守層やアメリカ政府などとの間に軋轢を生み、やがて民衆の生活は困窮。73年9月11日、米国CIAの支援を受けた軍部がクーデターを起こし、サルバドール・アジェンデ大統領は自殺。陸軍のアウグスト・ピノチェト将軍を中心とした軍事独裁政権が生まれた。
「チリの闘い」は、9月10日から渋谷ユーロスペースほか全国順次公開。