実は日本酒嫌いだった?小西未来が長編監督デビュー作に「カンパイ!」を選んだ理由とは
2016年7月5日 18:00

[映画.com ニュース] 日本酒の魅力に迫った長編ドキュメンタリー「カンパイ!世界が恋する日本酒」の特別試写会が7月4日、東京・渋谷ユーロライブで開催され、本作で長編映画監督デビューを飾った映画ジャーナリストの小西未来氏が参加した。
映画は、外国人として史上初めて杜氏(日本における酒作りの最高責任者)になったイギリス人のフィリップ・ハーパー氏、神奈川県・鎌倉市在住の米ジャーナリストで“日本酒伝道師”として注目されるジョン・ゴントナー氏、岩手県の老舗酒造「南部美人」5代目蔵元の久慈浩介氏の3人に密着。歩んできた背景や立場の異なる“日本酒のプロフェッショナル”3人の挑戦や苦悩を、関係者のインタビューなどを交えてひも解いていく。
「日本酒はむしろ苦手で遠ざけていた」という小西監督が本作の製作を志したのは、久慈氏との出会いがきっかけ。「日本人離れしたコミュニケーション能力を持っていて、片言の英語でそこにいる人たちをファンにしてしまう。『何だろうこの人は?』と思ったのがきっかけです」。久慈氏をスタートにハーパー氏、ゴントナー氏とたどっていき「日本酒ど素人が(ドキュメンタリー映画を)作って、この3人を選んだ。映画に関わるまでは(登場人物が作った日本酒を)飲まずに、キャラクターで選んでいるんです。このひらめきは我ながらすごい」と胸を張った。
キャラクター重視の作品作りを象徴するのが、久慈氏の同級生で東日本大震災で蔵を失った鈴木酒造店の杜氏・鈴木大介氏の存在。小西監督は鈴木氏のパートを増やすために作品の構成を一から作り直し、鈴木氏と福島県浪江町の蔵の跡地を訪れてその様子をカメラに収めた。「僕は震災の時は外国にいて、現地に行って本当にショックを受けた。動揺していたのか(鈴木氏に付けた)ピンマイクの録音を忘れるくらいで、とにかく手が震えないようにしよう、ちゃんと収めなきゃと考えていました。震災のシーンを入れることは心配ではありましたが、映画に芯ができたと思います」と振り返った。
小西監督には観客から多くの質問が飛び、監督は「(ラーメン屋の)一風堂はニューヨークではおしゃれデートスポット。(店内に)バーがあって、そういうところで日本酒を楽しんでいる」「最近ではノルウェーなどで、ビールを作っていた人が新たなチャレンジとして清酒づくりに挑むことが多い」といった世界での“日本酒事情”を披露。オススメの日本酒はハーパー氏が杜氏を務める木下酒造の「玉川」とのことで「初めて飲んで、すごくハマった。玉川と南部美人は両極端の日本酒で、映画はその2つを描くことで日本酒の奥深さを表している。計算って言いたいけど偶然です」とぶっちゃけて会場の笑いを誘った。
クラウドファンディングから始まった作品の日本公開に向け、小西監督は「退屈させないように作ったつもりです。(日本酒について)もっと知りたいと思ってくれた方がいいと言い聞かせ、ギリギリまで削りました。(取材するなかで)ほかにも魅力的な人にたくさん会ったから、彼らも描きたい。『カンパイ2』、『カンパイ3』と続けていきたい」と意気込んだ。
「カンパイ!世界が恋する日本酒」は、7月9日から全国順次公開。
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