林遣都&波岡一喜、廣木隆一監督と明かすNetflix「火花」の醍醐味
2016年6月4日 12:00

[映画.com ニュース] 又吉直樹(ピース)の芥川賞受賞作を実写化するNetflixオリジナルドラマ「火花」が、190の国と地域で同時配信中だ。総監督を務めた廣木隆一、主人公となる2人のお笑い芸人に扮した林遣都と波岡一喜に話を聞いた。
同作は、売れない芸人の徳永(林)と先輩芸人で天才肌の神谷(波岡)の2人が、様々な人との関わり合いの中で「笑いとは何か」「生きるとは何か」を模索する姿を描く。Netflixでは全10話、約530分のドラマとして映像化。廣木総監督(第1、9、10話の演出も兼務)のもと、白石和彌、沖田修一、久万真路、毛利安孝という実力派監督が集い、演出を手掛けた。
昨年11月、静岡・熱海でのクランクインから、撮影期間は4カ月間にわたった。廣木総監督は、主戦場となる映画の現場との違いに関して「1話での起承転結というのではなく、どの部分を中心として見せて次の話につなげていくかっていうのは確かに違いましたね。ただ、テレビの連続ドラマみたいに、終盤に何か事件が起きて2話目! みたいなことはせず、きちんと映画みたいに見えていればいいなということも意識しました」と明かす。
映画の公開日を待つのとは異なる高揚感があるようで、林は「6月3日に近づけば近づくほど、どうなっていくのか想像がつかないです。だから考えるのはやめて、配信されたらどれだけの方が見てくれて、どんな反応が戻ってくるのかを待っているんです」と真摯な面持ち。一方の波岡も、「テレビに出て、おかんや友だちから『見たで』って連絡がくるのとは違うかもしれませんね。ただ、友人がフランスにいるのですが、彼らはNetflixのことをよく知っているので、『それだったら見られるよ!』って言ってくれています。ちょっと新しい感じはしますよね」と笑みを浮かべる。
原作者の又吉からは内容の部分で意見をされることは一切なかったそうで、「唯一こだわっておられたのは関西出身でネイティブな関西弁をしゃべれる方が良いということだけ」(廣木監督)だったという。林は滋賀出身、波岡は大阪出身のため言葉の問題は難なくクリアしたが、漫才のシーンは相当の苦労を強いられたようだ。
林「漫才をするうえで、なにがしかの計算をするような余裕はありませんでした。必死に完成度の高いものを目指して、聞けることは全部聞いて、とにかくウケたいと思っていました。あまり反応が良くないときでも、作家さんが『ここはそういうシーンだから』と言ってくださったり。でもやっぱり、ウケたいんです」
波岡「ウケたらうれしいよなあ。あれ、なんやろなあ。笑ってくれることを前提で見てくれている場面であるのにもかかわらず、ウケたらうれしいんですよ」
波岡の言葉に力強く同調する林は、「こういう一人称の物語で主人公をやらせていただいて、毎話毎話特別なことが起きるわけではなく、日常を淡々と描いていく。どんどん気持ちがこもっていった」と述懐。そして、「他の現場ではなかなか芽生えることのない感情が生まれてきました。人の涙を見て耐えられなくなったり。そういう瞬間を味わえたので、演じている側として、本当にありがたい経験をさせてもらいました」と語った。
廣木総監督は、監督陣全員と1度だけ顔を合わせたことに触れ、「各話を担当する監督が決定した段階で、全員で吉祥寺に集まって酒を飲みましたね。その後は、1話目の現場に各々が来てくれた。どんなことをやっているのか気にしてくれていて、見に来てくれて助かった」と表情をほころばせる。さらに、Netflixの自由度の高さにも触れ「尺も決まっているようで、決まっていない。テレビだと45分くらいにおさまらないと、どんどん切っていくんだろうけど、『火花』は46分くらいで終わる回もあれば、53分の回もある。いいよねえ」。
すると波岡は、「ようやく分かった。総監督・廣木組テイストを引き継いでいるのかなと思っていたんですが、それだけじゃない。全監督が尺にとらわれていないから、いろんなところでシーンに余韻がありますよね。テレビや映画だと切ってしまうところだけど、Netflixでは残せる。作為的ではない、必要不可欠な余韻が心地いい作品になっていますね」と納得の面持ちをのぞかせた。
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