「神様メール」ジャコ・バン・ドルマル監督が語るベルギーのユーモア
2016年5月27日 17:30

[映画.com ニュース]本国ベルギーで大ヒットを記録し、日本・ベルギー友好150周年記念映画として5月27日に公開する「神様メール」。神の娘が世界中の人々に死期を知らせるメールを送信したことによって引き起こす騒動を描いたファンタジックコメディだ。来日したジャコ・バン・ドルマル監督に話を聞いた。
本作で神は、性格の悪い最悪の存在として描かれ、女神である妻と、娘のエアとブリュッセルで暮らしている設定だ。父親の存在を疎ましく思う娘がパソコンから人間に余命を知らせるメールを送信したり、ゴリラと恋に落ちる主婦など、奇想天外な物語がつむがれる。
オリジナリティあふれる脚本からも伺えるが、ベルギーには独特のユーモアセンスがあるという。「ベルギーのユーモアは他の人に笑われる前に、まず自嘲的に笑うことです。ベルギーは長いことフランスの笑いの対象になっていますから。ですから、フランス人に笑われる前に、われわれが笑おうと考えるのがベルギー人。ブリュッセルは公用語が3カ国、実際は60カ国位の言葉が話されていて、いろんな人種の坩堝(るつぼ)なんです。本当に不思議な国で、そう意味ではシュールレアリズムが日常なんです。よく、ベルギーにいると気がおかしくなっていないと、バカになると言われるほどなんですよ」

新約聖書や旧約聖書を現代の寓話のように仕立てた。「この映画の中心は、死が予告され、人間は自分の死を認識した日から、生き生きとしてくるというもの。登場人物は、死の後に天国があるわけではなく、今が天国なのだということを描きたかったのです。9つのアイディアが浮かび、それぞれの要素を登場人物の6人の別々の人物像に作り上げました。6人の共通点は、現世で幸福ではなく、いわゆる負け組であることです」
約7年ぶり5回目の来日。日本映画や日本についての印象をこう語る。「残念ながら20年前に比べてベルギーで紹介される日本映画は少なくなりました。今年見て好きだったのは『海街diary』。拳銃や、チェイスシーンがあるのではなく、繊細で美しいことを語っているのが好きです。日本に来るたびに、友情や温かさを感じます。同時にとてもミステリアスです。毎回来るたびに神秘的なものを感じますね」
「神様メール」は、5月27日から東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国公開。
(C)2015 - Terra Incognita Films/Climax ilms/Apres le deluge/Juliette Films Caviar/ORANGE STUDIO/VOO et Be tv/RTBF/Wallimage
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