震災復興でネパールが日本に恩返し「できることは何でもしたい」
2016年4月23日 16:10

[映画.com ニュース]ネパール映画研究の第一人者である東京情報大学教授・伊藤敏朗監督のネパール映画第2作「カトマンズに散る花」が4月23日、東京・渋谷ユーロライブで公開初日を迎え、伊藤監督をはじめ主演のガネス・マン・ラマ、ガウリ・シャンカ・ドゥンズ撮影監督、駐日ネパール大使代理ダジュバンダリ参事官らが、同劇場で行われた舞台挨拶に出席した。
映画は、2015年4月にネパールで起こった大地震の復興支援を目的に上映され、劇場に集まった観客と関係者は、ネパール地震と九州での地震で亡くなった人々へ1分間の黙とうを捧げた。伊藤監督は、今作の完成はネパールと日本のたくさんの人々に支えられてのことといい、「こうしてネパールの深い友達の輪が広がっていって、長い目で見た時に、私たちの活動も全世界の人を幸福にしていくことに寄与できるのではないかと思っている」と、今年国交60周年を迎える両国の友情を語った。
さらに伊藤監督は、「この2作でやり遂げた感はあったのですが、昨年のネパールでの大きな災害を受けて、カトマンズのがれきの山の上で新しい映画をクランクインしました」と新作「カトマンズの約束」の製作を発表。来年春に完成予定で、「震災復興を通じた日本とネパールの絆を力強く描いた感動ドラマ」になるという。
また、ダジュバンダリ参事官は「(九州での)震災の被災者の方々にネパールを代表してお見舞いを申し上げたい。1年前はネパールが日本全国から助けられた」と謝辞を述べ、「恩返しとして何かできないかと思い、特別な組織を作りました。その一環で、熊本でネパールのカレーを振舞いました。それ以外にも検討していて、できることは何でもしたい。この大変な時期に伝えたいのは、私たちはそばにいますということです」と被災地に思いを馳せていた。
映画は、ネパールの女性作家パリジャートの名作「シリスコフル(シリスの花)」を映像化したもの。第2次世界大戦で英印軍のゴルカ傭兵として日本軍と戦い、心に深い傷を負った青年と、悲観的で意地悪な女性という心に孤独を抱える者同士が惹かれ合っていく様を描いた。
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