洋画専門チャンネル「ザ・シネマ」最古参スタッフが語る“激レア映画”買い付けの挑戦
2016年4月8日 07:00
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[映画.com ニュース] ハリウッド作品を中心に、CMなしで24時間洋画が楽しめる専門チャンネル「ザ・シネマ」が、2015年の12月に開局10周年を迎えた。ライト層に訴えかけるメジャー作品だけでなく、深夜帯(月曜から金曜の午前0時から午前6時)には「シネマ解放区」と銘打ち、普段なかなか目にできないお宝作品や、かつてテレビ放送された日本語吹き替え版がラインナップされるなど、独自のコンテンツを世に送り出し続ける同チャンネルの最古参スタッフ・飯森盛良氏が、番組制作の苦労を語った。
これまでにも、ドン・シーゲル監督の「スパニッシュ・アフェア」やマイケル・マン監督の「ザ・キープ」といったDVD化していない激レア作品を数多く発掘してきた飯森氏は、「きちんと日本語化されて、日本のテレビで放送できるのはごく一部です」と業界の現実を語る。「日本で放送するためには、権利的に日本で放送できる作品でないとダメですし、その条件がクリアされていても、テレビで放送できるビデオテープに記録されていないとダメです。そして、テープがあったとしても、日本語字幕が入っていなければ放送できません。すべての映画がそういう仕様になっているわけではないんです。あの作品をやりたいと配給元にリクエストを出して、テープを出庫してもらうんです。ものによっては字幕もなければ、HDでもないと言われますが、それでもいいと掛け合います」。
交渉の末に買い付けた作品は、自分たちで字幕をつけて放送することもしばしば。労力もコストも相当なものだと予想されるが、飯森氏は「レンタル店に行ってもオンラインでも見られない作品を『どうしても見たい』という方に届ける。それが洋画専門チャンネルの務めだと思います」と強烈な気概をのぞかせる。「『よくぞやってくれた。これこそ俺の見たい映画』もしくは『この映画知らないけれども、そういうことをやってる姿勢自体が立派じゃないか』と、そういうことをやらねばならないと思うんです」。
番組制作者としての自負を熱く語った飯森氏だが、根底にあるのは、自分自身がいち映画ファンであるという思いだ。そんな映画愛が結実したのが、ゴールデンウィークに控える「ザ・シネマSTAFFがもう一度どうしても見たかった『激レア映画』を買い付けてきました」という企画。ビートルズのリンゴ・スターらが出演した「マジック・クリスチャン」や、第70回アカデミー賞短編実写映画賞受賞作「ビザと美徳」など、飯森氏をはじめ生粋の映画ファンであるスタッフたちが、困難をくぐりぬけて買い付けてきた「極私的な」ラインナップになっているという。
「僕の場合だと(5月放送予定の)『ラスト・ウェディング』という映画がありまして、人生が変わるくらいの作品になったんですが、誰に言っても知らない(苦笑)。こんなに素晴らしい映画なのに誰も知らないなんてもったいない、こういう会社でこういう立場にいますから、流してしまえと(笑)。500万世帯とつながっていますから、もしかしたら同じ感性の人たちが、5人でも2人でも人生変わっちゃったよと言ってくだされば、チャンネル冥利に尽きます」と頬を緩ませた。
「ザ・シネマ」内「STAFFがもう一度どうしても観たかった『激レア映画』を買い付けてきました」では、4月に「マジック・クリスチャン」、「ビザと美徳」、アラン・アーキン主演の青春映画「愛すれど心さびしく」の3作品が、5月にシャンソンの名曲をモチーフにした「暗い日曜日」、ナオミ・ワッツも出演する6人の男女のラブ・ストーリー「ラスト・ウェディング」、ソ連=チェコスロバキア=ルーマニア合作によるファンタジー「テイル・オブ・ワンダー」の3作品がそれぞれ放送予定。
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