エディ・レッドメイン、「リリーのすべて」は「20世紀の最も素晴らしいラブストーリーのひとつ」
2016年3月18日 12:00
[映画.com ニュース] 「博士と彼女のセオリー」(2015)のオスカー俳優エディ・レッドメインが映画.comのインタビューに応じた。世界初の性別適合手術で女性になった実在の画家を熱演し、第88回アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされた「リリーのすべて」(公開中)にかけた思いを語った。
レッドメインが本作と出合ったのは、本作のメガホンもとったトム・フーパー監督による「レ・ミゼラブル」(12)の撮影中のことだという。フーパー監督から脚本を渡されたレッドメインは「なんの予備知識もなく読んで、素晴らしいラブストーリーだと感じたし、ありのままの自分で生きる、ということを掘り下げたところに感動して、読んですぐ『やりたいです!』と監督に伝えたんだ」と直訴したという。
「僕がこの役をやりたいと感じたのは、20世紀の最も素晴らしいラブストーリーのひとつだと思ったからなんだ。愛というのは肉体やジェンダー、セクシャリティによって定義付けられるものではなく、2つの魂が出会うということ。僕が脚本を読んだときと同じように、(観客も)深く心を動かされてくれたらとてもうれしい」。
レッドメインが演じたアイナー・ベイナーは風景画家として人気を博していたが、肖像画家である妻ゲルダ(アリシア・ビカンダー)に頼まれて女性モデルの代役を務めたことをきっかけに、自らの中に眠る“女性”の存在に気付き、やがて“リリー”という女性として過ごすようになっていく。リリーへの変身ぶりはもとより、そこに至るまでのアイナーの苦悩を繊細に表現。本作には、レッドメインの卓越した演技力が凝縮されている。
「(役作りにおいて)1番大きかったのは、やはりトランスジェンダーの女性たちに出会ったこと。色々なことを学んで、リリーが誰なのかということを掘り下げていったんだ」。中でも、米ロサンゼルスに住むトランスジェンダーの女性とパートナーの存在が印象に残っていると話す。「彼女(トランスジェンダーの女性)のパートナーは、彼女がトランジション(性別移行)する間、ゲルダのように一緒にいてくれたそうなんだ。性別移行することはひとりの人間としての権利だけど、独立した個の行為でもある。彼女(トランスジェンダーの女性)は、相手の思いやりはどれくらい大きいのだろうか、という不安も感じていたそうなんだ。『あるがままの自分の人生を生きるためには、何もかもささげてもいい』という個の行為と、『相手の思いやりはどこまで深いのか』という疑問。この2つの言葉を脚本に書き留めて撮影に臨んだよ」。
リサーチを重ねるなかで役をつかんでいったレッドメインは「リリーが誰なのか、自分なりの解釈で見つけようとするなかで、女性らしさだけではなく、そこからさかのぼって男として生きていたときはどうだったのか」考えるようになったという。「(アイナーとして生活する前半では)リリーに男らしさという“外殻”をまとうやり方をしていたから、“男性性”も模索することになったんだ」。
本作では「博士と彼女のセオリー」に続き実在の人物を演じているが、本人はプレッシャーよりも「役者というのは、仕事をもらえるだけでもうれしいものなんだ」と演じる喜びを嬉々として語る。「自分の愛する“演じること”を仕事にできるだけでも幸せなのに、さらにこういった興味深い人たちを演じられる。この2つの役(アイナーと『博士と彼女のセオリー』のスティーブン・ホーキング博士)を演じられたのは大きな幸運だったと思う。2人を演じたあとに、フィクションである(『ハリー・ポッター』シリーズの新作映画)『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』にも出演するんだ。今後も色々な役にトライできればと思っているよ」と意気込んだ。
「リリーのすべて」は、ゲルダ役のビカンダーが第88回アカデミー賞助演女優賞を獲得した。
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