94歳のファッションアイコンが説く、幸せに生きる条件は「自分自身を知ること」
2016年3月4日 08:00

[映画.com ニュース]ファッションアイコンとしてニューヨークのカルチャーシーンに影響を与え続ける女性の成功に迫ったドキュメンタリー「アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー」が、3月5日に公開される。現在94歳、独自の審美眼とセンスで、ファッション界の第一線をひた走ってきたアイリス・アプフェルが、自由で楽しく生きるライフスタイルと仕事の成功の両立について語った。
1950年代からインテリアデザイナーとして活躍し、ジャクリーン・ケネディを顧客に持つなど、輝かしいキャリアを誇るアプフェル。彼女の仕事への取り組みと長年連れ添った夫との夫婦愛を映したドキュメンタリー。監督はアメリカドキュメンタリー映画の巨匠で、2015年3月に他界したアルバート・メイズルス。
世界中を旅して貴重な工芸品やテキスタイル、衣服を買い付けてきた。「昔はカール(夫)と一緒に毎年6月から3カ月間、船で旅行していたの、飛行機は嫌いだったから。日本には行く機会がなかったけれど。私が好きな場所は中近東や北アフリカなど、カラフルでエスニックな雰囲気を満喫できるところが好きなの。私はフリーマーケットフリークだから中東やモロッコの市場はもちろんのこと、パリやヨーロッパのフリーマーケットも大好き。何かを買う時の決め手は、“I love or not love”で物を買うときも一目ぼれ。何でもあれこれ迷うのは大嫌い。ただお金が足りるかしら? と思うことあるけれど」とお気に入りの都市での買い付けのエピソードを語る。
アプフェルにとって働き続けることは何より楽しいことなのだそう。「私はいつも何かしていないとダメなの。1日中、居間に座って何もしない事ほどつらいことはないわ。このクリスマスはカールが亡くなって初めてひとりでクリスマスを過ごしたのだけど、本当に憐れだったわ。仕事はつらいこともあるけれど、ハードワークであればあるほど私は楽しくハッピーになれる。私にとってハードワークは全ての良薬ね。人がリタイアを考えるというのは誤りだと思うの」と生涯現役を目指す。
人間が幸せに生きるために必要な条件は「自分自身を知ること。良き友をもつこと。自分の好きなことをすることができること」だという。94年の人生を振り返り、後に続く人々にこうアドバイスする。
「自分の嫌いな仕事をしなければならないのは悲しいこと。私は幸い、私の好きなことをやってくることが出来たわ。それに、とても素晴らしい結婚生活を送ることができたわ。でもいつもハッピーだと何がハッピーだか分からなくなるから、時には悲しい事も必要ね。そうするとハッピーということはどういうことか分かるから。人生にはひどいことが必ず起こるもの。家族を亡くしたり、友人を亡くしたり、仕事を無くしたり。私にとって主人を亡くした事はとてもつらいことだった。仕事をすることは私にとって、その辛さを乗り越えることでもあるの。だから働き続けるの。そして人にはファニー(面白い)な部分が必要なのよ。ユーモアのセンスを持ち合わせていない人はハッピーな人生を送れないと思うわ」
「アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー」は、3月5日から東京・角川シネマ有楽町ほか全国で公開。
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