岩井俊二監督、“弟子”行定勲監督の「ピンクとグレー」を称賛「ひとつの到達点」
2016年2月11日 20:45
[映画.com ニュース] 岩井俊二、行定勲両監督が2月11日、スペシャルトークショーを都内で行った。岩井監督が最新作「リップヴァンウィンクルの花嫁」の3月26日公開、行定監督が「ピンクとグレー」のヒットを記念しての開催で、行定監督は岩井監督の「Love Letter」などで助監督を務めており、師弟のコラボレーションが実現した。
行定監督は1992年のドラマ「GHOST SOUP」で岩井監督に付いた際、「打ち上げで助監督がいっぱいいる中で、『君はいつか監督になるんだからさ』とこっそり言われた言葉がすごく支えになっている」と師に感謝。対する岩井監督は、「一番監督になってほしくない右腕だった。特にキャスティングの才能が抜群で、行定がいなくなってからが大変でけっこう苦労した」と素直な心情を明かした。
それでも監督として実績を積んでいることには我が意を得たりの様子で、「非常に作家性の強い男だから、うまくやれるか心配だったが、うまく自分のテーストとエンタテインメントを合わせてやっていると思う。ずっと不在の主人公を探し続けている流れが脈々とあって、『ピンクとグレー』がひとつの到達点。先輩として感無量」と評価。その「ピンクとグレー」は、上映の途中で物語を“反転”させる構成が話題となり、興収5億を突破したが「思った通りじゃんとなった次の瞬間に、えっ、何が起きたのって感じ。前半のテーストを裏切る感じで、もう耽美性を堪能するしかなかった」と称えた。
一方、行定監督は先日、助監督を務めた「スワロウテイル」(1996)がテレビ放送されたのを娘と見て、「娘がちょっと出ている俺を見つけて、『パパ、すごい』って喜んだんです。今まで監督としてさんざん名前が出ているのにですよ。そこで外側から見て、色あせない岩井美学というものを見られた気がする」と納得の表情。「リップヴァンウィンクルの花嫁」も既に2回見たそうで、「スクリーンからはみ出すくらいの圧を感じるほどの、さく裂する映像の力がやけに心地よい。もうマジックですね」と感嘆していた。