クリストファー・ノーラン監督、「プレステージ」出演のデビッド・ボウイさん偲ぶ
2016年1月21日 12:00
[映画.com ニュース] 世界的ロックスターのデビッド・ボウイさんが1月10日(現地時間)に死去したことを受け、「インターステラー」や「ダークナイト」などのヒットメーカーとして知られるクリストファー・ノーラン監督が、エンターテインメント・ウィークリー誌に追悼文を寄稿した。
ボウイさんは俳優としても活動しており、ノーラン監督作「プレステージ」にも出演。クリストファー・プリーストの「奇術師」を原作とした同作は、19世紀末の英ロンドンを舞台にクリスチャン・ベールとヒュー・ジャックマン演じる2人のマジシャンのライバル関係を描いている。ボウイさんは、実在の科学者ニコラ・テスラとして出演。テスラといえば悲運の天才科学者として知られているため、ノーラン監督は配役で頭を悩ませていたそうで「テスラは世離れして、時代の先を行っていた人物だ。あるとき、テスラこそが最初の『地球に落ちてきた男』だと思いついたんだ」と振り返る。
「地球に落ちてきた男」は、地球に墜落したエイリアンの悲哀を描く1977年のSF作品だ。ボウイさんが主演したことから、テスラ役をオファーすることを思いついたという。一度は断られたものの、粘り強く交渉を続けた結果、了承を得ることができた。一度断られた役者に再度アプローチをしたのは、ノーラン監督のキャリアでも最初で最後だという。
スターとしてもボウイさんの存在感は別格だったと、ノーラン監督は断言する。「通常スターに会うと、どれだけ相手が輝いていようとも、リアルな人間としての側面を見ることで、ミステリアスな魅力がいくぶんは失われてしまうものだ。しかし、デビッド・ボウイは違った。一緒に仕事をしても、彼の才能とカリスマに魅了され続けた。あれは魔法のような体験だったね」