トム・ハンクスがスピルバーグ監督&コーエン兄弟脚本の「ブリッジ・オブ・スパイ」を語り尽くす映像公開
2015年12月26日 12:00
[映画.com ニュース] スティーブン・スピルバーグ監督、ジョエル&イーサン・コーエン脚本による「ブリッジ・オブ・スパイ」で主役を務めたトム・ハンクスのインタビュー映像が公開された。
実際の事件をベースにした本作は、アメリカとソ連(現ロシア)が冷戦中だった1950~60年代が舞台。保険専門の弁護士ジェームズ・ドノバン(ハンクス)は、ソ連のスパイ、ルドルフ・アベル(マーク・ライランス)の弁護を引き受け、世間からバッシングを受けながらも信念のもと、職務を全うしようとする。やがて指令を受けたドノバンは東西分裂中のベルリンに赴き、アベルとソ連に捕らえられたアメリカ軍パイロットの交換交渉に挑むことになる。
ハンクスは、スピルバーグ監督とコーエン兄弟とのタッグを「脚本を読んだときは役者冥利(みょうり)に尽きると思ったよ」「こんなにすばらしい作品の主演に私を選んでくれただけでもうれしい。それもスティーブンからの指名だなんて宝くじに当たった気分だよ」と興奮気味に語る。
自身が演じたドノバンに対しては「交渉において一歩も退かないタフな弁護士だ。少しでも隙を見せれば、彼はそこを突き相手を叩き伏せてくる」と考察。1つのミスで戦争がぼっ発しかねない状況でも進むべき道を見失わないその精神性を称える。だが、ドノバンがいくらやり手といえど相手は国家。ハンクスはさらに、“普通の人間”に過ぎないドノバンの前には大きな壁があったと語る。「彼はスパイの世界を知らなかった。うそやハッタリがまかり通る世界なんだ。彼自身は法曹界の人間で、そこでは言葉の信用がすべてだ。でもスパイの世界はその真逆だったんだ」。
ハンクスの言うように、一介の弁護士だったドノバンにとって、勝算は未知数。加えて、ある葛藤にも苦しめられることになる。「ドノバンは、もし自分がアベルの弁護を引き受ければ決して手を抜けないとわかっていたんだ。彼が悩んだのは、この弁護に全力を費やしていいのかどうかだ。敵のスパイを弁護して、もし勝ってしまえばそのスパイは無罪になってしまう。果たしてそれが許されるのかわからない」。
ドノバンとアベルの友情についても言及したハンクスは、「彼にとってソ連との交渉は単なる仕事ではなく、アベルを救うための戦いでもあったんだ」と人道主義者のドノバンらしい言葉で締めくくった。
「ブリッジ・オブ・スパイ」は、ライランスが第73回ゴールデングローブ賞の助演男優賞候補に選出された。16年1月8日から全国公開。