トビー・マグワイア、自身が演じたチェス全米王者が“変人”と呼ばれた背景を分析
2015年12月10日 19:30
[映画.com ニュース]1972年に行われた、アメリカとソ連(現ロシア)のチェス王者による世紀の対局を映画化した「完全なるチェックメイト」で、主演を務めたトビー・マグワイアのインタビュー映像が公開された。
映画は、米ソによる東西冷戦時代、14歳でチェスの全米チャンピオンとなったボビー・フィッシャー(マグワイア)がチェス最強国ソ連の絶対王者ボリス・スパスキー(リーブ・シュレイバー)に挑んだ全24局に及ぶ世界王者決定戦の模様を描く。
マグワイアは、エキセントリックな行動が目立ち“変人”と言われたフィッシャーになりきっているが、「とても魅力的なキャラクターだと思った。彼の人生や、世界チャンピオンになろうとする時期を見ると、試合も私生活もすべてが困難に満ちていて、すばらしい背景になると思った」とやりがいを明かす。
マグワイアは続いてフィッシャーの内面に言及し「とても複雑なんだ。ある部分では明らかに競争心に突き動かされていた。彼は自分を世界最高だと思っていたし、自分が世界一だと証明したかった。でも、普通の社会生活を送ることは難しかったと思う。彼は、医者に『精神に問題がある』と診断されるもろい男だった。妄想性障害をわずらい、人生を通してそれが進行していったんだ」と解説した。
母親が活動家だったという特異な家庭環境がフィッシャーの幼少期に影響を与えたと考察し「フィッシャーはチェスに救いを見いだし、駆け引きや試合に没頭したんだ。彼は、サイコロを転がし、カードをひっくり返すような手先の技が要求される賭け事は嫌いだった。チェス盤の上にはうそも操作もなく、純粋なんだ」と波乱万丈の人生のなかでチェスだけが安らげる場であったと語る。
「サイダーハウス・ルール」(99)や「スパイダーマン」シリーズ、「華麗なるギャツビー」(13)などで青年の複雑な心境を繊細に演じてきたマグワイアだけに、奇行の奥に隠されたフィッシャーの孤独をどう表現しているのか、映画ファンの期待がかかるところだ。
「完全なるチェックメイト」は、トム・クルーズ主演「アウトロー」の続編も控えるエドワード・ズウィック監督がメガホン。12月25日から全国公開。