リリー・フランキー、障害者の“聖人化”を問題視「車いすの人だって性欲ある」
2015年10月30日 15:15
[映画.com ニュース] リリー・フランキーと女優の安藤玉恵が10月29日、東京・シネスイッチ銀座で行われた、障害を持った少女の成長と母親との絆を描いたインド映画「マルガリータで乾杯を!」のトークイベントに、NPO法人ノアール設立者・くましのよしひこ理事長とともに出席した。
イラストレーター・小説家・俳優などマルチに活躍するリリーは、脳性まひを患うくましの氏が行っている、身体障害者のセクシュアリティを通して、障害者の権利の理解を広める活動に賛同。長年に渡り、ノアールのグッズデザイン、執筆など様々な活動で協力してきた。リリーはくましの氏とともに、人々が「車いすに乗っている人を聖人化している」ことに異議を唱えており、「車いすの人だって性欲がある。そんな基本的な欲求をボランティアの人でさえ認めない」と、人間としての権利が侵害されていることを問題視した。
映画は、生まれつき脳性まひを持つ少女ライラが、持ち前の明るさとチャレンジ精神でどんなことにも体当たりで挑戦していく姿を描くとともに、性への目覚めに対する周囲の戸惑いを映し出す。今作をひと足先に鑑賞したくましの氏は、「自分が障害者なので、つい荒を探しちゃう。でも最初に予告編を見た時に騙されました。プロでしたね」と主人公ライラを演じた女優カルキ・ケクランの演技に脱帽した様子。ケクランの仕草に「脳性まひあるある」をいくつも発見したと興奮気味に語った。
さらに、過去に製作された障害者のセクシュアリティを描く作品の主人公は男性だったといい、「女性が主人公でこういう内容の映画が上映されるのは、おそらく初めてに近いんじゃないかと思う」と題材に新しさに言及。リリーも「障害者とかの前に、女性の性欲求をこんなにチャーミングに描いている映画ってめずらしい」「性意識が甘酸っぱい。『アメリ』(2001)っぽいんですよね」と同意し、「本当いい映画。今年見た映画でベスト5に入る」と大絶賛した。
「マルガリータで乾杯を!」は、若手女性監督ショナリ・ボーズがメガホンをとり、第39回トロント国際映画祭でNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞するなど、高い評価を得ている。