自然の中の厳しい生活描く「カランダールの雪」 トルコのカラ監督「ありきたりの映画にはない条件下で撮った」
2015年10月28日 23:40

[映画.com ニュース] 第28回東京国際映画祭コンペティション部門出品作「カランダールの雪」が10月28日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、ムスタファ・カラ監督、主演のハイダル・シシマン、脚本家のビラル・セルト、プロデューサーのネルミン・アイテキンが会見した。
ドキュメンタリー出身のカラ監督の長編デビュー作。険しい山の上で、わずかな家畜と共に電気も水道もない暮らしを送る家族。一獲千金を夢見る主人公メフメットを中心に、荒涼たる大自然の中で生きる一家の姿がダイナミックな映像で綴られる。
主人公はカラ監督の知人がモデルで、本作でそのキャラクターを再現しようと試みた。「役を作り上げるうえで、私の中での疑問が作られてきました。この男性がこれほどまでに情熱をつぎ込むものは何なのかと。街から遠く離れた田舎で暮らす彼の望みとは、関心とは何か。そして、どんな苦労があるのか。家族の葛藤はどういうものか、彼の人生をどう自己証明するのか。それは私たちの自己証明と変わらないと思ったのです。それを表現するためにこの作品ができました」と本作製作の経緯を語る。
「雪の轍」で第67回カンヌ映画祭パルム・ドールを獲得したヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督ら、世界で高く評価されるトルコの映画人から様々なサポートを受けたと明かす。撮影は厳しいものだったそうで、「ありきたりの映画にはない条件下で撮った映画です。1年近くの時間を要し、4つの季節が入っています。虚構の環境を季節が変わる撮影の度につくり、なるべく現実に近付けることが私にとって重要でした。精神的にも物質的にも厳しいものでしたが、プロセスを完了し、成功を感じました」と映像作りに自信を見せた。
シシマンは、強じんな精神力を持つ主人公の役作りを「メフメットの自然との闘いは避けられず、結果は勝つか負けるかしかありません。そこで彼の情熱を表すことが重要でした。自然と希望の衝突で、希望が勝者にならなければなりません。自然に対して抵抗し、すべてに成功するメフメットになりきらなくてはいけませんでした。彼の強さと希望が大きな影響を私に与えました。今でも自分の中にメフメットがいる感じがします」と振り返った。
タイトルについて質問を受けた脚本家のセルトは「カランダールは地方の季節のある夜の名で、年末を過ぎた寒い夜のことです。それだけでなく、そこに住む人々の共通の慣習も表しています」と説明した。
東京国際映画祭は10月31日まで開催。
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