人間とアンドロイドの共演作「さようなら」 深田晃司監督「人間より人間らしく見える瞬間がある」
2015年10月24日 20:40

[映画.com ニュース] 第28回東京国際映画祭コンペティション部門出品作「さようなら」が10月24日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、深田晃司監督、主演のブライアリー・ロング、アンドロイド「ジェミロイドF」を開発した大阪大学の石黒浩氏が会見した。
世界で初めて人間とアンドロイドが共演する映画で、日本を代表する劇作家・平田オリザ氏による戯曲を映像化し、ロボット研究の世界的な第一人者である石黒氏が協力した。物語の中心となるアンドロイドのレオナ役には、本物のアンドロイド「ジェミロイドF」を使用した。
石黒氏は「ロボットを人間らしくするのに、演劇から学ぶことが多かった」とアンドロイドの動きに平田氏の演出を取り入れたと話し、「これまで映画でCGや部分的に使われることはあったと思うが、アンドロイドがすべてを演じるのは初めてのこと。アンドロイドは時に人以上に人らしくなり、人間を生々しく表現できることがある。アンドロイドの映画ができたのは歴史に残ることでは」と人間と見まごうような外見を持つジェミロイドFの演技に自信を見せた。
アンドロイドと俳優の演技について問われた深田監督は、基本的には平田氏の演劇と同じ手法で撮影したといい、「セリフを事前に録音して、プログラミングで俳優と一緒に演じる方法や、俳優のタイミングに合わせてセリフを出したりしました」と説明。「機械的なトラブルを起こしたことはない。2時間動きっぱなしの演劇より、動きやすかったのでは。ただ、ジェミロイドFが野外で芝居をしたのは今回が初めて。雨に弱いので大変でした」と撮影を振り返った。
また、人間とアンドロイドの共演は「アンドロイドは人間ほど高度な脳を持っているわけではありませんが、ある瞬間、人間より人間らしく見える瞬間がある。(観客が)アンドロイドの中に人間性を見出すことと同時に、人間がものすごく複雑なアンドロイドではないかと思いを巡らすことがあるのでは」と語る。
平田氏の演劇は、アンドロイドとターニャだけが出演するわずか15分の物語だ。映画化にあたり脚本を書き下ろした深田監督は「演劇では、映画で描いた原発事故や南アフリカのエピソードは出てきません。連想ゲームのようにイマジネーションを膨らませました。死を知らないアンドロイドと自分の死を知る女性の関係にひかれた。死にゆく女性の孤独を映画で表現するために、死にゆく世界を作ろうと思った。一番リアルな設定として、日本が滅びゆく状況を描くとき、原発の同時爆発を考えた」と明かした。
主演のロングは「アンドロイドを使うことは、感情を外側から内面を表現すること。今後、アンドロイドが主演女優賞にノミネートされたらおもしろい。形でどれくらい表現できるのかが疑問を呈されると思います」と女優としての意見を述べた。
東京国際映画祭は10月31日まで開催。
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