鬼才ブリランテ・メンドーサ監督、“フィリピンのベネチア”での撮影風景を明かす
2015年10月24日 18:50
[映画.com ニュース] ある殺人事件の顛末を被害者と容疑者それぞれの祖母の目を通して描いたフランス・フィリピン合作映画「グランドマザー」(2009)が10月24日、第28回東京国際映画祭の「CROSSCUT ASIA #02 熱風!フィリピン」部門で上映され、フィリピンの鬼才として知られるブリランテ・メンドーサ監督、製作・配給を手がけたウィルソン・ティエン氏がTOHOシネマズ六本木ヒルズでのティーチインに出席した。
劇中では、水上の町で暮らす貧しい庶民の生きざまを鋭くえぐり出している。メンドーサ監督は、舞台について「ナボタスなど、マニラの2カ所で撮影しています」といい、「もともとはすごい洪水の多いところで、最終的には水が引かなくなってしまったものですから、そこに住む人たちは環境になじんでいくしかなかったのです」と明かした。
本作は09年のベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品されており、撮影中はスタッフとともに「(ロケ地は)フィリピンのベネチアのようだ」と話していたという。しかし、メンドーサ監督は「実際の環境は正反対です。住んでいる人たちは貧しく、ここのほかに住む場所がない。ですが普通の生活をできるだけ送ろうということで、家族の助け合いが支えになっています」と実情を訴える。ティエン氏も「私にとってナボタスは生まれ故郷で、特別な場所です」と語り、「60年代、私の幼少期はこのような水が引かないということはなかったですが、埋め立てのプロジェクトが失敗しました。土地や不動産の値も下がったということで、多くの方が移り住んでいきました」と当時を振り返った。
また撮影には、地域住人のほぼ全員がエキストラとして参加。背景の人々がごく自然に振る舞っていることを指摘されると、メンドーサ監督は「カメラクルーがいると、町の人たちはじろじろ見たりします。そういうことをなくすために、ロケ先には俳優やカメラクルー含めて何度も足を運びました」と詳述。“珍しくない存在”になることが重要だったといい、「家やボートを借りるためにお金を払っていますので、皆さんの収入源にもなります。地域ぐるみのプロジェクトであることが、自然体で撮れるようになったのだと思います」とほほ笑んだ。
セパ婆さんの孫が殺害され、プリン婆さんの孫が容疑者として逮捕された。セパ婆さんは孫の葬儀代、プリン婆さんは孫の保釈金を工面するため必死に奔走するが、やがて事件は裁判所で新たな展開を迎える。第28回東京国際映画祭は、10月31日まで開催。
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