空族最新作「バンコクナイツ」撮入!クラウドファンディングと同時スタート
2015年10月20日 10:00

[映画.com ニュース] 「サウダーヂ」(2011)でナント三大陸映画祭グランプリ、ロカルノ国際映画祭独立批評家連盟特別賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得た「空族」の富田克也監督最新作「バンコクナイツ」が、10月20日にクランクインし、全編タイ・ラオスロケを敢行する。
最新作では、東南アジアに色濃く残るベトナム戦争の傷跡を背景に、タイのバンコクに実在する日本人専門の繁華街タニヤ通りを訪れる日本人たちと、タイ人女性たちが織り成す、失われた桃源郷(ユートピア)を探す物語を描くもの。テーマは、「サウダーヂ」の“土方・移民・ヒップホップ”より更に深化した“娼婦・楽園・植民地”。富田監督の映像制作集団「空族」が構想期間10年をかけて、満を持して製作に挑む。共同脚本は空族の相澤虎之助、撮影はスタジオ石(from stillichimiya)。
富田監督は、「これまでの作品同様、『バンコクナイツ』でもキャスト、スタッフすべての仲間たちがこの映画を完成させるのだという志のみにおいて参加。特にタイから参加してくれる現地の俳優、スタッフ陣も現況を打開すべく、私たちに協力をしてくれています。なぜなら『バンコクナイツ』は彼女たちの“生きるための映画”でもあるからです」としている。
空族は今回、初めてクランクインと同期する形でのクラウドファンディング(ネット経由で一般に資金提供を募る)、名づけて“怒りのデスロード”をスタートさせる。これは完成された映画をただ待つのではなく、映画を作る行為そのものに参加することで、観客と製作者を直結させ、“見たい!”という思いをそのまま映画の原動力にできればという空族からの提案だ。
目標金額は1000万円で、支援は5000円からスタートし、支援者全員には、boidマガジンで連載中の製作準備日誌「潜行一千里」を即日データで送信する。そのほか、富田監督の私物「国道20号線」「サウダーヂ」劇中使用車両「KAWASAKI Z750FX-II」、空族とめぐるバンコクツアー、「バンコクナイツ」映画出演権など、空族ならではの特典も用意している(http://eiga.com/official/motion-gallery/)。
「現場製作費のみについてはなんとか集めることができ、クランクインの決断はいたしました。しかし、実際のところ製作中断の危険と常に隣り合わせの決死行であるのが偽らざる現状です。デスロード的に申し上げれば、エンジンは完璧に組んだが“ガソリンがない”ということであります」と明かしている。
なお、クラウドファンディングの期間中は、プロジェクトページにて撮影の最新動画などもリアルタイムで更新していく。加えてそれらと並行し、渋谷アップリンクにて空族特集上映を10月31日~11月6日、大阪シネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館、神戸アートビレッジセンターにて「サウダーヂ」特別巡回上映イベントを11月27日から順次行う。映画の製作の有り方を大きく変えるプロジェクトとなりそうだ。
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