奥田瑛二&高橋伴明監督「赤い玉、」で真正面から向き合った“性”と“生”
2015年9月13日 14:00

[映画.com ニュース] 荒波にもまれ、時にあらがい、打ち破ってきたベテランだからこそ今の日本映画に対する憂慮がある。高橋伴明監督、奥田瑛二主演による「赤い玉、」は、「性」と真正面から向き合うことによって老齢に差し掛かった男の「生」をあぶり出した野心作だ。高橋監督が教べんをとる大学の学生もスタッフとして参加。2人は“共同正犯”となって、映画におけるエロティシズム、映画そのものの在り方を問いかけている。(取材・文・写真/鈴木元)
高橋監督は京都造形芸術大学映画学科長として、プロと学生が共同で映画を製作・公開する活動「北白川派」を主導しているが、「今の若いヤツは、性表現から逃げている。逃げない現場に引き込みたかった」と学生に対してどこか物足りなさを感じていた。
その思いに駆られて脚本を執筆したのが「赤い玉、」だ。主人公は、大学教授も兼ねる映画監督・時田。理解ある愛人と暮らしているが、新作の企画はなかなか通らず、老いも自覚し始めている。そして、書店で目にした女子高生によって己の人生を狂わせていく。
時田役に指名された奥田もすぐに応じる。「お互いにエロティシズムもそうだけれど、映画界をちょっと憂えている部分を話して、やろうということになった。やる以上はすべてをさらけ出すというか身を投げ出す気持ちでやらなきゃいけない映画だと思った」
愛人役の不二子をはじめ、オーディションで選んだ女子高生役の新人・村上由規乃ら女優陣も相当な覚悟をもってラブシーンにも挑んだようだ。
奥田「カメラがあって監督がいるわけだから、役者として無駄な苦労、心配はかけたくない。監督がNGを出すのは“玉”が見えた時くらいで、あとは全部OKというところまで身を投じないといけない。それをやると女優さんもおのずと心がポンとはじけていくわけ。自分が経験してきた中で100%そうだったから、なんのちゅうちょもなかった」
高橋「経験値もあるだろうけれど、相手をその気にさせるのはうまいよね。奥田がここまでやるなら、私もやらなきゃ関係性が成立しないって気にさせちゃうよね」
淫靡(いんび)で生々しいラブシーン、時田が惑わされる女子高生の妖艶な姿態など、ゾクッとする鮮烈な性描写は、高橋監督の真骨頂。「愛の新世界」以来21年ぶりに本格的なエロスに取り組み相当な手応えを感じているようだ。一方の奥田も、俳優としてここ数年の精力ぶりは目覚ましい。これは長女の安藤桃子監督、次女の女優・安藤サクラら家族の存在が刺激になっているという。
「次女も、その旦那(柄本佑)もアプローチの仕方がすごい。よく辞書を覚えて飲み込むっていうけれど、それ以上のことをやって現場に臨むわけ。俺はそんなことやったことねえなって思うと同時に、今からでも間に合うんだと思えた。そういう意味じゃ娘たちに教えられたっていうのはありますよね」
タイトルは、男性が“打ち止め”になった時に出るとされるといわれる伝説からきている。だが、高橋監督は「次もいくぞって気になりましたね」と意気軒高。奥田も、「なるよな。俺も思った」と呼応。戦友2人からは当分、映画人としての赤い玉は出そうにない。
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