「繕い裁つ人」中谷美紀、「仕事というより、好きなことを存分にした感覚」
2015年9月4日 09:30

[映画.com ニュース] 池辺葵氏の同名人気コミックを、「ぶどうのなみだ」(2014)の三島有紀子監督が実写映画化した「繕い裁つ人」で主役を務めた中谷美紀が、同作のブルーレイ&DVDの発売を前に、インタビューに応じた。
映画は、神戸の町の仕立屋である「南洋裁店」を祖母から受け継ぎ、常連客のためだけに服を繕い続ける頑固者の2代目店主・市江(中谷)と個性豊かな客たち、市江にブランド化を勧める神戸のデパート店員・藤井(三浦貴大)が織りなす日々を細やかに描く。片桐はいり、黒木華、杉咲花、伊武雅刀、中尾ミエ、余貴美子らが出演する。
登場人物の心の機微を丹念にすくい取った作品だが、撮影期間はわずか16日間だったという。作品に参加した思い出を「仕事というよりは、好きなことを思う存分させていただいたというような感覚です」と語る中谷は、過酷な撮影を振り返り「三島監督をはじめとするスタッフの皆さんが不眠不休でこの作品に愛情を注いでくださり、きっと素晴らしい作品が生まれるに違いないという期待に満ちた幸せな撮影現場でした」と苦楽を共にした仲間たちへの信頼を口にした。
なかでも、初タッグとなる三島監督に対しては、「三島監督の作品の住人になれたことを誇りに思います」と、その手腕にすっかりほれ込んだ様子。「言葉にしたら無粋になってしまうことを、計算され尽くした美しい映像に語らせ、俳優には無駄な動きや虚飾を排したシンプルな演技をさせることで、物語のテーマをお客様の心にさり気なく、しかし確実に届けてくださる三島有紀子監督が大好きです」と語りつつ、その人柄を「フェアで男気のある監督でありながら、チャーミングな部分も失わず、それでいて、誰にこびるわけでもない。どこまでもついて行きたいと思える素晴らしい方です」と評し、同じく映画界で生きる女性監督に賛辞を惜しまない。
撮影の印象的なエピソードとしては、冒頭の窓際でミシンを踏むシーンの舞台裏を明かし、「悪天候が続くなか、奇跡的にまばゆいばかりの自然光が差し込み、他のシーンを撮影していたにもかかわらず、三島監督の迅速なご判断により大慌てで衣装を変更し、まるで絵画のように美しい映像を撮影することがかないました」と、その仕上がりに自信を見せた。
「繕い裁つ人」ブルーレイ&DVDは9月2日発売(レンタルも同時スタート)。
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