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少数民族の暮らしと環境破壊 中国若手監督が子供を通して地方の現実描く「僕たちの家に帰ろう」

2015年8月28日 15:25

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リー・ルイジュン監督
リー・ルイジュン監督

[映画.com ニュース] 第27回東京国際映画祭コンペティション部門出品作で、古代シルクロードの一部としてかつて繁栄した中国北西部河西回廊を舞台に、少数民族ユグル族の幼い兄弟の旅を描いた映画「僕たちの家(うち)に帰ろう」が8月29日公開する。来日したリー・ルイジュン監督が、作品へ込めた思いを語った。

伝統的に遊牧を行ってきたユグル族は、現在のウイグル族の末裔といわれ、13億もの人口を誇る中国で約1万4000人しか存在しないといわれる少数民族。9世紀には人口30万人を擁する甘州ウイグル王国を建て発展していた。映画の舞台となった甘粛省張掖市は中華人民共和国成立後、草原が畑地に転換させられ砂漠化が進行、1990年代からの高度経済成長に伴いいくつもの工場が建設され、現地住民と労働力として移住した漢族との貧富の格差も生まれた。

映画では、放牧で生計を立てる親と離れて暮らす兄弟が、ラクダに乗って両親に会いに行く姿を通し、滅びゆく民族と文化への思いと、現在の経済発展の代償として中国が抱える環境問題を映し出す。

雄大な自然を背景に、「七彩山」や「馬蹄寺石窟」などの名勝も映しながら、ラクダに乗った兄弟のほほえましい旅が展開するが、ふたりは厳しい現実に直面する。「彼らは自分たちの夢に沿って旅をしますが、最終的には現実を受け入れるしかない。今の時代が子供に与える傷、祖父や父とは違う彼らの時代に立ち向かわなければならないということ描きたかったのです」

画像2(C)2014 LAUREL FILM COMPANY LIMITED

劇中で兄弟は水を求めて湖に向かうが、そこは干からびている。実際その湖にはわずか4年前まで水深2メートルの水があったという。「環境問題は実際被害をこうむらないと、なかなか自分の問題として受け入れられないものですが、近年は中国の人々も考えるようになりました。外に出れば毎日PM2.5でひどい空気を吸わなくてはならない。これは国の問題ではなくて、自分たちの問題だと意識するようになったのです」

そんな中国の環境問題に一石を投じたような作品になった。「政府の林業局の会議でも、この作品が上映されました。国も環境問題については相当意識していると思います」。中国の映画は検閲が厳しいが、「少数民族を描くことに政府は敏感なので大抵検閲は厳しくなるのですが、今回カットを指示された箇所はひとつもありませんでした。それは意外なことでした」と明かす。

1983年生まれ。映画製作に進んだきっかけは「映画からは、自分の知らない、行ったことのない国の生活や文化を知ることができます。それが映画の魅力だとわかったから」。経済発展に伴い、現在中国は米国に次ぐ市場規模を持つが、製作者たちもその恩恵を受けているそう。「若い監督にとって、とても良い状況です。特に今年はある若い監督の初監督作の商業映画が大当たりし、チェン・カイコーら巨匠の作品よりもヒットしています。これは数年前には考えられないこと」と話す。

若い世代の監督としてどういう中国を世界に見せていきたいかと問うと「現代の普通の中国人の生活です。北京や上海といった大都市の暮らしはいろんなルートで知ることができると思いますが、それ以外の地域で、世界の人たちが知りえないような事実を描きたい」と抱負を述べた。

僕たちの家(うち)に帰ろう」は8月29日、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。

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